中台首脳会談 66年の時を超えて
異なる"夢"と民族統一
頑張れ台湾!
【シンガポール】中国と台湾が66年ぶりに対話を果たした中台首脳会談はシンガポールのホテル。マスコミ600人ほどが詰めかけた。予定の午後3時、TVクルー、スティールカメラマンが場所どりで緊張がピークに達したとき、ホールの右袖から習金平国家主席が現れた。少し間を置いて、右から台湾の馬英九総統が歩み寄った。
分裂から実に66年ぶりの両国首脳が再会し、満面の笑みを見せた。思惑が一致したのだろうか、2人とも固い握手を交わして笑顔を見せた。このときのフラッシュがたかれ、ふたりはまっしろに浮かび上がった。
ステージの背後には、それぞれの国旗はなく、また共同声明もなかった。
しかし、「両岸の同胞は多くの困難と長い隔たりの期間を経験したが、どんな力もわれわれを引き裂くことはできなかった」と、民族的な同一を強調し、暗にアメリカの介入をけん制した中国習主席。
これに対し、台湾の馬総統は「66年のときを超えた握手でわれわれが掴んだのは(両国の)未来であり、中華民族の復興の希望のともし火だ」と対話の重要性を強調するにとどめた。
今回の会談は互いの国を正統な政権として認めていないため、実現は困難と見られていたが、主席、総統の肩書きを外し、お互いを「先生」と呼び合うことで、まず、会談を行いことに重きが置かれた。
馬総統は会談の主目的を「台湾海峡の現状維持」を第一に掲げ、中国でなく、台湾でもなく、第3国で開催することで、両国が対等であるということを示そうとした。
台湾は中国の軍事力の脅威をそらす必要に迫られ、とても民族統一などを考えているわけではなかった。
両国の関係改善が第一であり、互いに尊重する国同士の関係樹立をめざしている。
台湾の政治大学での調査によれば、自らを「中国人と考える」ひとはわずか3・5%にとどまっている。統一への抵抗は大きいようだ。
9月に行われた世論調査(民間機関)によると、66・4%のひとが統一に反対しているが、この内容は台湾のひとたちの心を写しだしているかどうかはわからない。なぜなら「現状維持を求める」という意見は56・1%だからだ。
われわれ日本人もアジアの仲間としていつまでも台湾が安全であることを強く願っている。がんばれ、台湾。