ReuterJapanNews’s Dialy

バンコク駐在記者。ヤンゴンからチン州ミンダットに転戦。国際NGOと連携して国軍の攻撃から逃れる難民を救おうと頑張っています。

ユジノ・サハリンスクの奇妙な風景  日本の役人はなにを見たのか

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サハリンの石油掘削事業

2000人が埋もれた街から

 

セブンシスターズ(石油メジャー7社の総称)がサハリンの州都ユジノ・サハリンスクに結集していた。プロジェクトがあまりに巨大なため、その資金を拠出するのは単独では無理だったからだ。サハリン、極東最後の未開の地。だが日本は乗り遅れてしまった。

この街は生まれ変わろうとしている。大手石油7社はこの未開の地に400億ドルをだして、開発に動きだした。イゴール・ファルフトジーノフ知事(当時)は、このセブンシスターズから支払われる石油掘削権で、未払い給料など借金の返済を考えていた。サハリンは貧しい。これほど海の資源と鉱業資源を抱きかかえながら、外からの交通手段がお粗末で、投資がもっとも遅れた、いわば忘れ去られた街だったのだ。それは西側世界のいう言い草だが、、、。今では第2のアラスカのような街になろうとしている。

まさにゴールドラッシュ前夜のようなきなくさい雰囲気さえ漂う。ここにあるサンタホテルには石油関係の様々な人種が集っている。石油調査員、掘削作業員、学術研究者、銀行家など世界から視察にやってくる。なんとカジノすらオープンしている。

日本の資本も入っているが、魚の缶詰などの小資本で、もっとも近くにいる日本がなぜ、サハリンの石油事業に食い込めなかったのか首を傾げたくなる。

サンタホテル、ここのホテルの客室係りはなんとお客の接待までしてくれる。それほどこの街は外貨獲得の機会をうかがっているのだ。油田はユジノの北80キロにある。交通手段はない。だから、これまで日本のジャーナリストはここの話を知らない。この近くを訪れて本を書いた紀行作家たちは、なにも知らされていない。問題は言葉と、関心が鉄道だったり、歴史だったり、動物など。動いている経済世界を伝える資質がなかったからだろう。

2000人が死んだ油田の街、ネフテゴルスクは1995年、マグニチュード8の巨大地震に見舞われ、街がほとんど壊滅した。ここを再び掘り起こそうという考えなのかわからないが、石油を掘削すると泥水がまじり、もっと別を調べたほうがいいのかも知れない。

ではこの街で生き残ったひとはどこへ行ったのだろう?

サハリン最北の都市オハは1900年初頭から石油掘削がはじまり、コンスタントに石油を汲み出している。そのためインフラも整っているが、街はくたびれている。原因は、ここの石油開発会社が納税を怠ったため、市役所の歳入のほとんどすべてが無くなり、市長も半年間も給料をもらっていない。教師もそうだ。市役所もまどはガラスが割れたまま、ダンボールで塞がれているところもある。アラスカではよくある光景だが給料の未払いはロシアではよくありすぎる光景なのだ。

 その後、この沖合いにある海底油田からの掘削事業が本格化してゆくことになる。

つまり、ロシア大統領プーチン氏がすすめた納税の徹底というのは、こうした事業者の経営に関る財務状態を調べ、きちんと納税させ、労働者に賃金を支払わせ、国民にカネが行き届くようにしたことで、賃金がないひとからむしりとろうという日本とかなり違っている。

それが一切、わからず、国民から税の徴収を徹底することばかり進めるわれわれの政府とはやっていることが異なるわけだ。まともな情報が入ってないのではないかと首をかしげたくなる。だれが税の徹底徴収の舵を切ったのか調べる必要がある。そして、何を根拠にマイナンバー制度が国の財政を救うなどと考えたのか、公聴会に呼び出す必要があるのではないだろうか。

つまり、ロシアは世界で史上初めての超巨大な国営事業をすべて民間に払い下げ、そこで雨後のきのこのように誕生した事業者たちに、ちゃんと納税の義務を課しただけで、国民はそれにより賃金が支払ってもらえるようになったのである。それが、なぜ、日本の役人は国民ひとりひとりから徹底徴収しようと勘違いしたのだろうか? 

 

 

素数ノ謎 解明への大航海: 宇宙の暗号 (NGO japan cyber library)

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