コロナウィルスの謎
なぜ、欧州と
アメリカで致死率(注 結果から見た致死率は 死者数割る生還者数)が20-40%と異常に高い。
なぜ、中国と韓国、日本、タイは致死率が10%を切っているのか?
その答えは精査しなければならないが、
答えはこれではないか。
コロナウィルスの遺伝子を分類した
英独研究チーム
世界で検出された新型コロナウイルスを遺伝子型で分類すると、中国など東アジアに多い型や、欧米で多く見つかっている型など3タイプに分けられることがわかった。ウイルスはヒトなどの細胞内で増殖しながら絶えず変異しており、タイプを追跡することで、感染経路や流行の分析、ワクチンの開発につながる可能性がある。
独英の研究チームが昨年12月から先月までに検出された約160人分のウイルスの遺伝子を分析した。
チームはまず、コウモリから見つかったウイルスに最も似た群をAタイプとした。中国南部の広東省の住民だけでなく、日本人や武漢市滞在歴のある米国人から見つかるなど、米国や豪州など東アジア以外でも多く見つかっているという。
一方、Aタイプから分かれたBタイプは、武漢市を含む中国やその周辺国で多く見つかった。チームは、東アジアに多いタイプと分類。東アジアの人に広がりやすいタイプだった可能性があるという。
さらに、Bタイプに由来するCタイプはフランスやイタリア、スウェーデン、米国、ブラジルなど欧米が中心だった。
シンガポールや香港、台湾、韓国でも見つかっているが、中国本土では見つかっていないという。論文は、米科学アカデミー紀要(https://doi.org/10.1073/pnas.2004999117)に発表された。
気になる点は1月末にイタリアで見つかったコロナウィルスはシンガポールのクラスターと関係しているという報告だ。
これが源流なら、なぜ、シンガポールなのか解明を待たなければならない。欧米からの感染者はこれまで以上の監視体制が必要になる。サイレントが一人でも入れば、状況は一変する。
この理論は4月29日発表の米国国立研究機関の査読前の論文で裏打ちされた。米国のものは最下段に掲載している。この推論は発表時、世界初だったが、今では有力になっている。
原文
Researchers from Cambridge, UK, and Germany have reconstructed the early "evolutionary paths" of COVID-19 in humans - as infection spread from Wuhan out to Europe and North America - using genetic network techniques.
By analysing the first 160 complete virus genomes to be sequenced from human patients, the scientists have mapped some of the original spread of the new coronavirus through its mutations, which creates different viral lineages.
"There are too many rapid mutations to neatly trace a COVID-19 family tree. We used a mathematical network algorithm to visualise all the plausible trees simultaneously," said geneticist Dr Peter Forster, lead author from the University of Cambridge.
"These techniques are mostly known for mapping the movements of prehistoric human populations through DNA. We think this is the first time they have been used to trace the infection routes of a coronavirus like COVID-19."
The team used data from virus genomes sampled from across the world between 24 December 2019 and 4 March 2020. The research revealed three distinct "variants" of COVID-19, consisting of clusters of closely related lineages, which they label 'A', 'B' and 'C'.
Forster and colleagues found that the closest type of COVID-19 to the one discovered in bats - type 'A', the "original human virus genome" - was present in Wuhan, but surprisingly was not the city's predominant virus type.
Mutated versions of 'A' were seen in Americans reported to have lived in Wuhan, and a large number of A-type viruses were found in patients from the US and Australia.
Wuhan's major virus type, 'B', was prevalent in patients from across East Asia. However, the variant didn't travel much beyond the region without further mutations - implying a "founder event" in Wuhan, or "resistance" against this type of COVID-19 outside East Asia, say researchers.
The 'C' variant is the major European type, found in early patients from France, Italy, Sweden and England. It is absent from the study's Chinese mainland sample, but seen in Singapore, Hong Kong and South Korea.
The new analysis also suggests that one of the earliest introductions of the virus into Italy came via the first documented German infection on January 27, and that another early Italian infection route was related to a "Singapore cluster".
Importantly, the researchers say that their genetic networking techniques accurately traced established infection routes: the mutations and viral lineages joined the dots between known cases.
As such, the scientists argue that these "phylogenetic" methods could be applied to the very latest coronavirus genome sequencing to help predict future global hot spots of disease transmission and surge.
"Phylogenetic network analysis has the potential to help identify undocumented COVID-19 infection sources, which can then be quarantined to contain further spread of the disease worldwide," said Forster, a fellow of the McDonald Institute of Archaeological Research at Cambridge, as well as the University's Institute of Continuing Education.
The findings are published today in the journal Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS). The software used in the study, as well as classifications for over 1,000 coronavirus genomes and counting, is available free at http://www.fluxus-technology.com.
Variant 'A', most closely related to the virus found in both bats and pangolins, is described as "the root of the outbreak" by researchers. Type 'B' is derived from 'A', separated by two mutations, then 'C' is in turn a "daughter" of 'B'.
Researchers say the localisation of the 'B' variant to East Asia could result from a "founder effect": a genetic bottleneck that occurs when, in the case of a virus, a new type is established from a small, isolated group of infections.
Forster argues that there is another explanation worth considering. "The Wuhan B-type virus could be immunologically or environmentally adapted to a large section of the East Asian population. It may need to mutate to overcome resistance outside East Asia. We seem to see a slower mutation rate in East Asia than elsewhere, in this initial phase."
He added: "The viral network we have detailed is a snapshot of the early stages of an epidemic, before the evolutionary paths of COVID-19 become obscured by vast numbers of mutations. It's like catching an incipient supernova in the act."
Since today's PNAS study was conducted, the research team has extended its analysis to 1,001 viral genomes. While yet to be peer-reviewed, Forster says the latest work suggests that the first infection and spread among humans of COVID-19 occurred between mid-September and early December.
The phylogenetic network methods used by researchers - allowing the visualisation of hundreds of evolutionary trees simultaneously in one simple graph - were pioneered in New Zealand in 1979, then developed by German mathematicians in the 1990s.
These techniques came to the attention of archaeologist Professor Colin Renfrew, a co-author of the new PNAS study, in 1998. Renfrew went on to establish one of the first archaeogenetics research groups in the world at the University of Cambridge.
2020年4月21日追記
北京大学の研究チームが発表した研究報告があがってきた。それによると、中国国内で発見された新型コロナウィルスをL型とS型と呼んでいる。
これは中国国内にはサンプル採取時点でAとB型しか存在しないため、感染力に大きな差を認めていた。
新型コロナ、2タイプか=感染力違う可能性―北京大
新型コロナウイルスは2種類のタイプに分かれ、感染力が違う可能性があると、北京大などの研究チームが3月6日までに中国の英文
科学誌ナショナル・サイエンス・レビューに発表した。
中国の内外で解読された103例のウイルスのリボ
核酸(RNA)を解析し、遺伝子を構成する
塩基配列の違いから、7割を占めるL型と3割のS型に分類した。L型はS型から変化して出現し、感染力が強い可能性がある。
武漢市ではL型が大半を占めたという。
新型コロナ欧州株 感染力が強い変異を獲得 米研究所
米ロスアラモス国立研究所は4月29日、新型コロナウィルスで感染力と致死率が高い欧州株(ヨーロッパと米国で爆発的に流行)の実態に迫る研究論文を発表した。
プリプリント版で査読前の段階だが、確度が高いため公表した。本誌が武漢株と欧州株が決定的に破壊力が異なることを世界で初めて発表して、2カ月が経過。多くの研究が理論を補強してくれる。
今回発表された論文によると、スパイクタンパク質における14の変異を特定。その中の1つの変異株(D614G、通称-欧州株)が2月初めから欧州で感染拡大し、世界中に広がったという。
論文は「D614Gの分布は驚くべき速さで増しており、もとの武漢株と比較してよりスピーディーに拡散できる適応力、つまり優位性を獲得した」と分析。
著者のベティ・コーバー氏は「新興ウイルスが非常に早く広がり、3月にはパンデミックの支配的な株になった。この変異株が流行し始めると、それまでにその地域で広がっていた株に取って代わる。D614Gの感染力は強い」という。
コロナウイルスは表面に他のウイルスとは異なる「王冠(コロナ)」のような突起(スパイク)を持つ。この突起はスパイクタンパク質から成り、標的となる細胞表面の受容体(レセプター)に結合し、細胞への侵入を容易にしてしまう。
新型コロナウイルスのスパイクタンパク質はヒトの上気道や肺、腸などの上皮細胞表面にある酵素ACE2に着床。今回の研究論文はそのスパイクタンパク質の変異をゲノム情報から解析した。
ロスアラモス国立研究所は世界中の患者6346人から採取された新型コロナウイルスのゲノム情報を解析。その結果、スパイクタンパク質の14の変異を特定し、欧州で被害を広げたD614Gが他の地域でも最も優位的な変異株になっていた。
新型コロナウイルスの変異株が非常に急速に出現して、感染力が強いため優位的に広がったことを示唆している。査読前論文なのでスパイクタンパク質の変異が感染力や病原性の違いにどのような影響を与えるのかまだ公表していない。
スパイクタンパク質はワクチンの重要なターゲットであるため、早い変異はワクチン開発にも大きな影響を与えます。欧州株に感染した患者はウイルス量が多いようですが、入院率で見た場合、武漢株と欧州株には大きな差がなかったようです。
しかし武漢株に感染して抗体ができたとしても欧州株に感染するかもしれない。流行の主流となった武漢株(オレンジ色)と欧州株(青色)の流行を観察したのが下のグラフ。
ロスアラモス国立研究所の査読前論文より
日本はもう少しで欧州株の流行をシャットアウトすることができかも知れない。
既報発表されている主な研究論文
2月21日「新型コロナウイルスに5つのグループ」
中国科学院西双版納(シーサンパンナ)熱帯植物園の研究者、郁文彬(Wen-Bin Yu)氏らの 研究班がグローバルイニシアチブ(GISAID)に登録された93のゲノム情報を分析し「ゲノム情報に基づく新型コロナウイルスの進化と感染の解析」という論文を発表。
郁文彬氏らの論文より
ChinaXivに査読前論文として掲載され、正式受理は4月27日。それによると58のハプロタイプ(半数体の遺伝子型、塩基の組み合わせ)が確認され、5つのグループに分類できたという。
上のウイルスの家系図(系統樹)にあるH13やH38が新型コロナウイルスの先祖ハプロタイプとみられ、後に中継ぎハプロタイプのH3からH1が枝分かれした。
塩基の数も2万9782個から2万9903個とばらつきがあるが、塩基の一つ一つは「文字」のようなもので、この組み合わせがタンパク質を構成するアミノ酸を作り出す。
日本の国立感染症研究所(感染研)によると、
ウイルスが増殖する時、遺伝情報をコピーしますが、この時、文字(塩基)を写し間違えてしまうことがあります。これが変異です。新型コロナウイルスには、こうしたミスプリを見つけて文字を切り取って正しい文字に置き換える校正機能(Viral Proofreader・NSP14)が備わっている。
しかし、ミスプリントは完全には防げない。文字(塩基)が1つだけ入れ替わっても作られるアミノ酸が同じ場合、構成されるタンパク質は変わらない。
ウイルスにとってミスプリはサバイバルのために欠かせない現象。生存していくためには環境に適応できるようアミノ酸の配列を変える必要がある。たとえば58のハプロタイプや5つのグループがあったとしても宿主の免疫力や環境によって淘汰され、消滅を免れるのはその一部。
3月3日
北京大学のXiaolu Tang氏らの研究班が「新型コロナウイルスの起源と継続する進化」という論文をオックスフォード・アカデミックのナショナル・サイエンス・レビューに発表しています。
新型コロナウイルスのゲノム情報はコウモリや、ウロコで覆われた希少な哺乳類センザンコウを宿主とするウイルスに近いことを指摘。新型コロナウイルスの2つの主要なタイプであるL型とS型に進化しており、L型が7割以下、先祖に近いS型は3割以下で、L型の方が普及していると分析しました。
当初、論文の中で、L型が普及していることから 「L型の方が、感染力が強い可能性がある」と指摘していましたが、誤解を招くという批判を受け「(S型より出現の)頻度が高い」と修正しました。
4月8日「新型コロナウイルスにA、B、Cの3タイプ。誕生は昨年9月13日~12月7日」
英ケンブリッジ大学のピーター・フォスター博士らの研究チームは米科学アカデミー紀要に掲載された論文などで「ウイルスは3つに大別でき、コウモリから人間に感染したのは9月13日から12月7日の間」との見方を示しました。
画像
GISAIDで共有されている160人分の新型コロナウイルスのゲノムを遺伝的ネットワーク手法で分析したところ3つの型に大別できたそうです。
(A型)アウトブレイクの根源。中国雲南省のコウモリやセンザンコウから検出されたウイルスに最も近い。今回のパンデミックのエピセンター(発生源)とされる中国湖北省武漢市でも見つかったが、武漢市で流行したのはB型。アメリカやオーストラリアの患者からも派生したA型が見つかる。
(B型)A型から変異。武漢市を中心に中国や近隣諸国に蔓延。「B型は免疫学的または環境的に東アジアの人口の大部分に適応する可能性がある」(フォスター博士)。
(C型)B型から変異。イタリア、フランス、スウェーデン、イギリスの初期の患者にみられる主要な欧州型。初期の中国本土のサンプルからは見つからなかったが、シンガポール、香港、韓国では検出されている。
フォスター博士らは解析する新型コロナウイルスのゲノムを1001人分に広げたところ、変異する速度などから「95%の確率でコウモリから人間に感染したのは9月13日から12月7日の間とみられる」と話しています。
4月14日「アイスランドで流行する7つのハプロタイプ」
アイスランドで陽性と確認された1221人のウイルスのゲノム情報を解析した結果、大まかに分けて7つのハプロタイプが流行していることが判明。
アイスランドの研究論文より
アイスランドの研究論文より
4月14日「感染力も毒性も突然変異する新型コロナ『強毒種は270倍のウイルス量』中国の研究」
中国・浙江大学の研究班が査読前の論文で、浙江省杭州市で1月22日~2月24日に無作為に選ばれた患者11人から取り出した新型コロナウイルスをサル由来のベロ細胞に感染させ、分析した結果を報告。
それによると、33を超える変異を確認。そのうち19は全く新しいものでした。感染時の宿主細胞への結合に不可欠なスパイク糖タンパク質で6つの異なる変異が起きていました。
ベロ細胞内のウイルス量は最大で270倍も異なり、ウイルス量の多い細胞はすぐに死にました。変異により病原性が大きく変化し、強毒性の種が生まれることが実験で初めて確認できたそうです。
英王立化学会の「化学の世界」のコラムニスト、デレック・ロー氏は「新型コロナウイルスの遺伝情報の中のORF7bが変異していた患者は45日間も陽性だった。こうした変異が患者の回復の遅れとどんな相関関係があるのか調べてみる価値はある」と述べています。
これに対して前出の宮澤教授は「それぞれの点突然変異が対応する構造タンパク質や非構造タンパク質にどのような機能変化をもたらしているかも全く明らかでなく、本当にその変異でウイルスタンパク質の機能が変わるのか、何の証拠もない」と指摘されています。
4月27日「新型コロナは14日ごとに変異 感染研が分析 武漢株より怖い欧州株を食い止められるか」
新型コロナウイルスの患者5073人から採取されたウイルスのゲノム情報を解析した結果、1年間で25.9カ所に塩基変異が起きると推定されることが感染研の調査で分かりました。単純計算で平均14日に1度のペースで変異していることになります。
この研究論文はここにしか存在しないので、世界のデータを精査しています。
新たな発見をした人は
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