ReuterJapanNews’s Dialy

バンコク駐在記者。ヤンゴンからチン州ミンダットに転戦。国際NGOと連携して国軍の攻撃から逃れる難民を救おうと頑張っています。

世界を揺るがしたワイリーの告発 フェイスブックはいかに利用されたか? 

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クリストファー・ワイリー氏(データサイエンティスト)

 

   米国大統領選でトランプ陣営の選挙キャンペーンで「データーサイエンス」という技術が使われたことがわかった。世界を文字通り揺るがせることになったトランプ大統領の選挙陣営に加担したんは、イギリスに本拠地を置く、ケンブリッジ・アナリティア。創業メンバーのクリストファー・ワイリー氏自身が内部告発し判明したのだった。


性格診断クイズを通じて5000万人分の個人情報がトランプ陣営の選挙キャンペーンに利用され、フェイスブックの友人の個人情報も抜き取られた。このデータからデータサイエンティストが組み上げたキャンペーンはフェイスブックの偽ニュースという形になって現れるゆになったのだ。


「人はより右よりのニュースに反応する」という習性も解析で明らかになっている。

カナダ出身のワイリー氏は28才で、トランプ陣営のバノン氏に見いだされ、データ解析サイエンティストとして、選挙選に加担し、それを成功させた。

このデータ解析による手法で、どれだけ票を動かすことができたんかはまだ、ブラックボックス内にあるが、不可解な選挙の流れから、その裏で何が起こっていたのか、いずれ明らかになるだろう。

 

 

ニューヨーク・タイムズ

ニューヨーク・タイムズに報じられた内容によると、2014年に設立されたデータ解析企業のCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)はユーザーの許可なく入手したデータを使用し、投票を予測したり投票行動に影響を与えたりするソフトウェアを作成。ソフトウェアによって有権者に対してFacebook上で個別の政治広告を配信できるようにした。

ニューヨーク・タイムズは、Facebookユーザー5000万人分の個人情報が、ユーザーの許可を得ずに利用されたと伝えたが、ケンブリッジ・アナリティカはこれに対し「データは調査会社Global Science Researchから不正なものと知らずに購入したものであり、不正なものだと判明した2年前に削除ずみ」だと説明。また、Facebookは、2014年当時はポリシーが厳格ではなかったことなどから、データの利用が不正行為ではなかったという。

この一件は28歳のクリストファー・ワイリー氏の内部告発によって明らかになったもの。ワイリー氏はケンブリッジ・アナリティカの創設に携わった元幹部。一体ワイリー氏とはどのような人物なのか、何を行ってきたのか。


◆1:頭脳明晰な28歳、いじめから16歳で学校を自主退学


ワイリー氏にインタビューを行ったのはイギリス・ガーディアンのキャロル・キャッドウォラダー氏。キャッドウォラダー氏は何度もライリー氏に面会することでその人物像に迫っています。キャッドウォラダー氏によると、ワイリー氏は28歳のカナダ人で、カナダのブリティッシュ・コロンビアで育ち。

ワイリー氏はADHD(注意欠陥・多動性障害)と読書障害を持っており、同性愛者でもあったことから、学校でいじめにあっており、16歳で自主退学。その後、17歳の時にカナダの野党のリーダーのオフィスで働き始め、次の1年でデータ・サイエンスを勉強し、カナダ自由党の中で「インターネット・キッズ」という立ち位置で働きだしました。そして19歳の時にコーディングを独学で学んだあと、ワイリー氏は20歳の時に法律を学ぶためロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに入学した。


◆2:ワイリー氏にアイデアを与えた1つの論文
在学時代のワイリー氏は、「Computer-based personality judgments are more accurate than those made by humans(コンピューターベースの性格診断は人間が行うものよりも正確である)」というタイトルの論文に出会う。

Computer-based personality judgments are more accurate than those made by humans | Proceedings of the National Academy of Sciences
http://www.pnas.org/content/112/4/1036

 
この論文はケンブリッジ大学の心理学教授であるWu Youyou氏、Michael Kosinski氏、David Stillwell氏が記したもの。この論文の中で、研究者らは「社会的認知活動の中に遍在し重要視される『性格診断』について、コンピューターモデルと人間とで比較しました。複数の基準を用いた結果、私たちは人間のデジタル・フットプリントを元にしたコンピューターの判断の方が、友人・家族・同僚といった近しい人々の判断よりも正確かつ確実であることを示します。私たちの発見は、人々の性格予測は、人間の社会認知スキルを要さずに自動的に行うことが可能であることを強調する」と述べた。

Kosinski氏とStillwell氏の両氏は性格診断テストを含む心理学的なプロフィールアプリをFacebook向けに開発し、多くの人がこのアプリを利用することになった。この時に開発されたアプリのデータが、今回の一件で問題となっている。

ワイリー氏は上記の論文から、個々人の性格が政治的な行動に影響をすることを知り、野党の候補者を助けるため、正しいターゲットに正しいメッセージを送るべくデータを使おうと試みた。


◆3:スティーブン・バノンとの出会い

by Gage Skidmore

ワイリー氏の運命が大きく変わり出したのは、トランプ政権における上級顧問だったスティーブン・バノン氏や、共和党後援者でありマーサー財団のレベッカ・マーサー氏、その父親であり計算機科学者のロバート・マーサー氏と出会ったとき。彼らは「ゲイ」がアーリーアダプターであると認識しており、「ゲイが流行に乗ったものには、後から人が続く」と考えていたため、ワイリー氏にも好意を持っていたそうです。ジャーナリストのマイロ・ヤノプルス氏とバノン氏の間につながりがあるのは、彼がゲイであるためだとワイリー氏はみている。

マーサー財団から資金援助を受ける選挙管理エージェント「SCL Elections」はケンブリッジ・アナリティカを生み出した会社。「コンピューターベースの性格診断を選挙に利用する」というアイデアを持っていたワイリー氏は、このSCL ElectionsのCEOであるアレキサンダー・ニックス氏から「私たちはあなたに完全なる自由を与えることができます。あなたのクレイジーなアイデアを実験できますよ」というオファーを受けたとき、申し出を素直に受け取りました。そして、ケンブリッジ・アナリティカの創設に携わることになる。

どのようにケンブリッジ・アナリティカがデータを入手したのかは記事作成時点でまだ疑問が持たれているところ。この点、ワイリー氏はガーディアンに対し、「Kosinski氏にデータをもらえないか交渉した結果失敗したが、調査会社Global Science Researchを運営する心理学者Aleksandr Kogan氏から研究を複製してデータを提供するという提案を受けた」と語っています。ケンブリッジ・アナリティカはデータ収集のために700万ドル(約7億4000万円)を支出し、うち100万ドル(約1億円)はGlobal Science Researchに支払われたとされる。

人々の考えを変えるために必要なことは「考えを強要すること」ではなく、「コントロールされたメッセージを送ること」、つまり、フェイクニュースを始めとする情報の操作を行うことにあります。「トランプ氏は基本的にはクロックスやUGGの靴のようなもの。どうやって『不格好な靴』と思う人の考えを変えて、みんなに靴を履いてもらえるようにするか?」ということを、ワイリー氏やバノン氏らは考えていった。

そしてワイリー氏はFacebookを利用するというアイデアを生み出しますが、この時Facebookは事情を知りつつも計画を中止させる行いをしなかったとワイリー氏は述べており、その証拠としてガーディアンに対してFacebookの弁護士からの手紙をキャッドウォラダー氏に対して示した。


◆4:ワイリー氏は「Facebookから収集したデータを利用する」計画を考案したと認めている
2014年の夏に収集されたFacebookユーザー5000万人のデータが選挙に利用されることになりましたが、トランプ氏が大統領に選ばれる3カ月前に、Facebookはワイリー氏に対して収集したデータを削除するよう告げたとのこと。ワイリー氏が「すでに削除した」と告げると、その後Facebookからの連絡はなかったそうです。しかし、2016年までにすでにデータは共有されていた。

エドワード・スノーデン氏はワイリー氏の告発を受けて「Facebookは人々のプライベートな生活の個人的な詳細を搾取して販売することでお金を得ている」「彼らは犠牲者ではなく共犯者だ」という見解を明らかにした。

 

 

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