国連人権理事会の選挙、国連総会(ニューヨーク)=国連提供
BBC一面トップ記事にトランプ米国大統領が国連とWHOを非難。そうなったのはあなたのせいではないのか!
国連が機能しなくなった!その舞台裏
トランプ米政権の国連離れ
アメリカが国連人権理事会からの脱退を正式に表明。これまでにも国連教育科学文化機関(ユネスコ)や地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」、難民・移民保護の国際交渉からの離脱を決めた。
「米国第一」を押し通す米国が国際社会に背を向け続けた。
気の毒だが、国連を冷笑する結果が、今回の悲劇を加速した。
「人権をあざ笑う偽善的で利己的な組織には残れない」。ヘイリー米国連大使は2018年、ポンペオ米国務長官との共同記者会見で人権理事会を痛烈に批判し、脱退を宣言した。中国やコンゴ民主共和国、ベネズエラなど「人権侵害国」(ヘイリー氏)が理事国に名を連ねていることに加え、パレスチナ問題をめぐり米国が支援するイスラエルを批判することに反発した。
トランプ政権発足後、パレスチナ問題をめぐり米国は多くの国連加盟国や国連組織との対決姿勢を鮮明にしている。ユダヤ系の有力者が多い米国にとって重要な同盟国であるイスラエルの権利を守ることは米国の基本方針。とはいえ、オバマ前政権などは国際社会とのバランスをとってきた。
人権侵害国を勢いづかせる
国連のグテレス事務総長は、米国の脱退表明を受け、報道官を通じて「米国は残ってくれたほうがよかった」との消極的な声明を出した。
国連にとって米国は最大の資金拠出国であるだけでなく、民主主義の守護者としての役割も期待されてきた。
米国の人権理事会からの脱退は人権侵害国を勢いづかせることにもなりかねず、米国の孤立主義が国際社会に暗い影を落としている。
国連職員に給料が払えない
国連のグテレス事務総長は2019年10月8日、加盟国が国連に分担金の支払いを行わなければ、来月職員に賃金が支払えなくなる可能性があると警告した。
事務総長は国連総会の行財政委員会(第5委員会)で「今月はこの10年で最悪の赤字を計上し、11月には賃金を支払うだけの資金もなくなる恐れがある。われわれの仕事と改革が、リスクにさらされている」と述べた。
2019年の通常予算33億ドル超のうち、米国の負担が22%を占めて最大の割合。前年の予算での割り当ては3億8100万ドル、今年は6億7400万ドルとなっている。
トランプ米大統領は、米国の割合は不当に多いとして、国連改革を求めている。
国連のドゥジャリク報道官は、これまでに加盟193カ国中、129カ国が2019年分の分担金を支払い、約20億ドルが確保されているとしている。
国連はなぜ力を発揮できない?
国連は3月25日、世界各国で感染が広がる新型コロナウイルスに対応するために20億ドル(約2200億円)の人道支援を加盟国に要請した。
集めた資金は途上国への支援物資の空輸や検査のための医療機器などに充てる。すでに日本、米国、中国やドイツなどの22カ国が資金を拠出し、20億ドルのうち12%が集まった。
国連のグテレス事務総長が世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長などと共同の会見で加盟国に支援を要請した。資金は4月から9カ月間の支援に充て、医療制度が脆弱な南米、アフリカや中東などの国を対象とする。
グテレス氏は「先進国だけで感染を抑制し、途上国で火のように広がれば、ウイルスが変異してワクチンが開発されても効かなくなる」として先進国に支援を呼びかけた。米ジョンズ・ホプキンス大学によると米東部時間25日正午(日本時間26日午前1時)時点では172カ国で感染者が確認されており、急ピッチで発展途上国への感染も広がっている。
国連は合計で既に7500万ドルを途上国のコロナ対応に拠出しており、支援物資が届くよう、世界の紛争地に停戦も求めている。
アメリカの退場
アメリカはグローバルなリーダーの役を退いてしまった。アメリカはもう真の友は持たず、利害関係しか念頭にないことを全世界に非常に明確に示した。
そして、新型コロナウイルス危機が勃発したときには傍観を決め込み、これまでのところ指導的役割を引き受けることを控えていたかにみえた。
だが、地球は丸かった!
遂に北米大陸に新型コロナウィルスは到達。瞬く間にコロナウィルス禍の世界の中心地になった。
リーダーの資質なき、世界のリダー国は世界から退場するしかないのだろうか?