アメリカの生物学者エリス・シルバー博士の次のように主張します。
シミュレーション世界の住人Ⅳ
本来、人類が地球上で最も進化した生物であれば、人類はどの種より、地球環境に適合しているはず。しかし、人類の身体は地球環境にそれほど適合していません。
動物は体のサイズが大きい動物は四足歩行です。地球の重力下で、体のサイズがある程度大きくなると、四足 歩行が最も体に負担が少ない歩き方だからです。
しかし、人類だけかが、体が大きいにもかかわらず二足歩行です。
さらに、四足歩行から二足歩行に変わるのは、進化の過程において段階的に 起きると思われていましたが、初期の人類である「アウストラロピテクス」は400万年前から二足歩行と判明。これらの霊長類はまるで進化の過程を省いたかのように突然、地球上に現れたのです。
実は人類は地球に生きるうえで、様々な問題を抱えています。腰痛もその1つです。腰痛の問題を抱える動物は、地球上において人類だけだとエリス博士は言う。
人類の皮膚が太陽光に長時間さらされると傷つくことや、人類の自然分娩が非常に難しいこと、多くの人が慢性疾患を患うことなどから、エリス博士は、人類はどう見ても地球環境に適していない。
『どこかの別の場所から来た種ではないか』と主張します。
博士が考えた1つの可能性としては、私たち人類は、数百万年前から、誰か によって地球という刑務所に送り込まれた囚人だというものです。
残酷な連鎖
地球上における動物たちが生き延びる手段というのは、植物が太陽光や大気からエネルギーを得るのと異なり、ほかの動植物を食べることが必要です。これが食物連鎖です。
人類はこの連鎖の頂点に立っています。
すでに人類はこの残酷な命の奪い合いを勝ち抜いて、食われる脅威から脱出していることから、人類は何も〝地球に収監された囚人〟の要素がないと思うかもし れません。
しかし、意識が肉体の中に禁錮されている以上、それが幸せとは言い切れないのです。
なぜなら、私たちの多くの悩みや苦しみは、肉体からきているからです。 病気による苦しみ、愛する家族との別れ。
生命の最期に感じる絶望感、体の痛み……など。これらはすべての人が人生において経験する辛さは、存在する喜びの程度を超えているという考えられます。
動物世界の食物連鎖から脱出したものの、激しい人間社会は、根本的には弱肉強食のルールに従っています。事実上、人類同士の競争や搾取という、また別の残酷な連鎖の中に閉じ込められています。世界最貧国の残酷な生活は生き残りを賭けた人生の過酷さを教えてくれます。
これらの人生における苦しみは、意識が肉体の中に禁錮されているために引き起こされています。
宇宙の主流は〝意識体〟かもしれないというのが私の説ですが、私たちがそのような存在であれば、これらのほとんどの苦しみがなくなるかもしれません。
私たちは不都合な肉体にとらわれているのです。
肉体と知恵を同時にもつ私たち人間の大部分は、肉体がもたらす欲に コントロールされてしまっています。「成功したい」「もっとお金を稼ぎたい」 「幸せな家庭を築きたい」「健康でいたい」……。これらが少しでも欠けたら、人はすぐに落ち込みますし、悩みを感じるようになっています。逆にすべてを満たせたとしても、人はまたすぐにその上を求めるのです。人間の欲には、きりがありません、底なしの沼です。