ReuterJapanNews’s Dialy

バンコク駐在記者。ヤンゴンからチン州ミンダットに転戦。国際NGOと連携して国軍の攻撃から逃れる難民を救おうと頑張っています。

北朝鮮アセンディング金正恩    Northkorea ASCENDING

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金正恩 北朝鮮アセンディング

 

逆に見えた ロシアとの冷めた関係

そして”核の冬”がきた

Northkorea Ascending

北朝鮮の平城で5月6-9日、第7回朝鮮労働党大会が開催された。そこには海外からの要人の姿はなかった。孤立化を深める金正恩政権は中国政府からの干渉を嫌い、ロシアへの傾斜を強めるが、ロシア側からも無視された。これほどロシアのいらなくなった兵器を大量に購入する国はないのに、、。

ショーのクライマックスは4つの肩書きをもつ金正恩氏がさらに5つの肩書きを推戴し、名実ともに金日成-金日正-正恩と祖父、父と続く独裁政権の3代目を襲名したセレモニーだった。正恩氏はスーツ姿で雛段に登場した。独特な日本の文鎮高島田の髪型に、メガネのスーツ姿。ビジネスマンの姿だった。それも、海外に伝わっていた肥満した120キロの体躯はこの日のために減量し、あの「覇気カット」と呼ばれる髪型がそれほどこっけいには映らない。つまり、減量には成功した。

 

 

プーチン大統領と同じスキャバルスーツ

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スイスに留学した金正恩氏はヨーロッパの文化を好み、身につけるブランド品、車までEUの品だ。車はドイツのベンツ。特注の防弾ガラスを組み込んだもので自ら運転することもある。

彼がこの日のために人民戦闘服の替わりに選んだスーツは、プーチン大統領もオーダーする「スキャバル製」。そして自家用ジェット機もロシア製である。だが、ロシアは意外にそっけなかった。ウクライナとの戦闘など西側で問題を抱え、自国の経済問題で朝鮮どころではない。

国とは名ばかり、平城に集ったジャーナリストたちによると、未来都市のような一面と、それではない貧民街の両面を併せもつ、つまり40年前の上海のような不思議な町だったという。

地下鉄の駅構内のデザインも一風変わっている。広々としたプラットフォームに高い天井、照明はアジアを思わせる提灯のようなシャンデリアが異国情緒を醸し出す。だが、肝心の電車は一昔前のそう、日本の昭和初期のようなものだった。

 

イギリスの国営放送BBCは勇敢にも平壌支局を開設する計画をたて、記者とスタッフを送り込んだ。しかし、この国を取材するのは容易ではない。書けないことだらけ。つまり、北朝鮮側が伝えてほしいイメージと、ジャーナリストが見た現実のギャップ、溝が日本海溝ほど深いのだ。とてもまともな番組などできない。

BBCは平壌の病院を取材して、そこでモックアップのように、つまり、北の宣伝映画を制作するのと同じ手法で撮影することを強要され、完成したのがドキュメンタリー「平壌の偽医者物語」。この放送を見た金正恩は激怒した。

 

BBCの追放劇

 

そして、BBCは記者、スタッフもろとも北朝鮮国内から追放された。とても残念だが、BBCの予算で北の宣伝映画制作は我慢ならなかったのだろう。せめて1,2年はふんばってもらいたかった。次はロシアのRTにでも支局開設にがんばってほしいところだ。

ドイツの登山家ハラーがチベットのラサに密入国し、ダライラマの教育係と国づくりをした伝記「7YEARS・イン・チベット」という名作がある。BBCならせめて、「7MONTH ・イン・ピョンヤン」を作ってほしかった。

深夜、この未来都市(どうも距離は短いらしい)を防弾ガラスを組み込んだベンツが猛烈なスピードで走り抜ける、運転するのは正恩氏。アップになった覇気ヘヤが関取を思わせる。なんとカーブではドリフトしているではない。そして、向かったのは高麗ホテルの地下駐車場。ガラガラだ。ここには正恩氏の貸しきり部屋がある。

夜毎、順番でひとりづつ呼び出される北の謎の美女舞踏団「もらんぼん」のおんな。色白で美しい。肌のきめの細かさ、それは透き通るようだ。

唄って踊ったのに、、、、体重120㌔がのしかかる。

まるで”罰ゲーム”である。

ひと昔前の「喜び組」と同じ。父、正日氏がやっていた舞踏団の名前が変わっただけのようだ。南の少女時代のような位置づけなのかも知れない。平城には春は来ない。冬の次に旱魃があり、そして秋を素通りして、また、冬がくる。

 

G7三重県伊勢志摩で閉幕した。この中で話題に登ったかどうかは、まったく定かではない。誰も触れないからだ。平和宣言に挑みかかるように振舞う北朝鮮。実は極東の沿海州(日本海北側)はひとが住まなくって久しい未開地ばかり。魚も自然も豊富だが、北朝鮮が核実験を行っているのが、この沿海州側である。そんなことをしなければ自然豊かな森林地帯で資源開発、観光開発もこれからの土地だった。

ウラジオストクがあの規模の都市になれるのだから、ここに地続きの都市ができればロシア、北朝鮮とも豊かになれるはずだった。つまり、極東の地中海都市である。北、韓国、中国、ロシア、日本が接する国境の街ができれば、それこそがプーチン大統領が望んでいた自由な貿易特区を設けることができた。ロシアはウラジオと、カムチャッカに今春、この政策を打ちだしたばかりで、投資を呼び込もうとしていた。ロシア大統領は喜んで応じたはずなのに。

国境の町はいついかなる時代も生き抜き、かならず繁栄する。それをスイスで学べなかったのが正恩氏の限界だった。冬が過ぎ、旱魃になり、核の冬がやってくる。