米国のゴールドマンサックスは2000年に600人いた株式トレーダーを今年2人にまで削減していた。トレーダーをAI(人工知能)に置き換えていたのだ。AIが人間より高い運用能力をもつ証拠だろう。どんなに巨額でも恐怖に震えることがない。一時の感情に流されることもない。
AIの開発は成果は今春、グーグル傘下の英国企業ディープマインドのCEO(最高経営責任者)で開発者であるデミス・ハサビス氏(40才)が開発したアルファー碁という人工知能が、世界最強の棋士と戦ったことで一際、鮮明になった。
中国人のカ・ケツ氏(19才)と3戦し、3連勝した。
「われわれはやっと正しい階段を登りはじめた」とハサビス氏は喜びをかみ締めるように語っている。
世界支配の値段はたった5億$だった
どこがこれまでと異なるのか?
ディープマインドは2010年の創業。この創業時にはEV自動車のテスタからも出資を受けている。現在の研究者はおおよそ500人、半数が研究開発者。グーグルの傘下に入ったのは2014年、5億ドルで買収された。
AIの開発は実は1990年代に始まっていた。しかし、人間のレベルには遠く及ばない。何度も開発は中断、そのつど新しい技術者が現れ高い雪山をラッセルしてきた。
開発のポイントは人間の学習に似た深層学習という考え方。従来のものに強化学習プログラムを追加したことによる。つまり、学習しみずから能力を増してゆく頭脳を獲得したのである。
ハサビス自身は神経科学者なのである。
ここまで見る限り、AIに暗いイメージはない。それが日本ではどうして暗幕に覆われた暗いイメージに見えるのか不思議だった。
日本のメガバンク、みずほファイナンシャルグループ、東京三菱UFJ銀行など3行は合計で3万3000人もの人員を削減すると発表した。
日本の銀行の先行きは暗く、ジリ貧になっており、儲けることができない体質になっている。そのためには体質をスリムにして生き残る以外に選択肢がない。それがAIに置き換える人員削減計画となって表れた。
これは企業が削減の意図でAIを導入に踏み切った例に過ぎず、AIは人間の意図に従う。
本来、AIはひと減らしのために開発されたものではない。得意なのは、運用管理である。
大きな施設、企業や市を運営管理できる。場合によっては小さな国をも管理することになりそうだ。
宇宙船内で飛行士たちが冬眠するなか、起きて環境を監視するのも得意。場合によっては米国防総省の参謀にもなる。
「核の先制攻撃から国を守るもっとも効果的な策を3つ提案してくれ」。
「あの国を転覆させる方法を考えてくれ」とか米国のトランプ大統領の補佐にも成りうる。
米ソ冷戦時代に数学者のナッシュ博士がランド研究所で行っていた研究と同じことが行われそうだ。考えてみれば恐ろしいことだ。人類最高の知恵が攻撃してくるのだから、一撃、二撃までは守れても、最後には負けてしまう。
数学者とロイター
時間を1870年に巻き戻し産業革命前夜を見てみよう。
場所はドイツのゲッチンゲン。数学者のガウスが世界初の電信技術の公開実験に成功したところ。
ガウスのところにロイターが訪ねてきた。のちにニュース通信社を創業するあの男である。銀行員としてのキャリアを積んだ青年ロイターは電信が株の売買を左右する大きな武器になることを予感し、電信に深く関心をもっていた。ガウスは実験を見事成功させた。
ロイターはその後、パリに現れアバス通信社で社員に採用される。英語にドイツ語も読み書きできるからだ。アバス通信社は後にフランス国営通信社になる。そこにもうひとり採用されたのがウォルフ。
電信がロンドン、パリ、ベルリンへと張り巡らせると社員はいなくなった。それぞれが独立して電信の権利をおさえに走ったのである。ロンドンーパリの一方を押さえると、その反対をアバスが、パリーベルリンを押さえようとすると、その反対方向をウォルフがおさえていたという笑い話のような実話が残されている。
しかし、これがその後の世界のニュースを支配する通信社のはじまりであった。彼らのニュースのグレードにより資本家は失敗したり、潤ったりしたのだ。なにより開戦のニュースは高く売れた。ロイターのテレグラフの穴ぬき文字は、文字通り世界を揺り動かしたのだった。
今、これが起きているのだ。EVエンジンと搭載したテスラは日本のトヨタのハイブリッドエンジン搭載者プリウスを追い落としにかかっていた。
ハリウッドのセレブ、レオナルド・デカプリオはプリウスの信奉者と思われていたが、テスタに乗り換えた。次いでブラッド・ピット、ジョージ・クルーニーもテスラへ。
中国はEV車の要、リチウム鉱山をおさえに南米へ、政府高官を派遣。日本のSOFTBANKの孫社長はなんとサウジアラビアの電力を買ってまでエネルギー支配に乗り出している。孫社長は1年以上も前からロシアの極東地区の資源開発に関心をもち、プーチン大統領と電力をサハリン経由で北海道、本州へと流れる仕組みを考えていたほどだ。
エネルギーをおさえるか、リチウム鉱山をおさえるか、グーグルのようにAI開発企業を買収するかー。その支配がこのあとの世界を書き換えることになりそうだ。
人員削減のためのAIでは明るい未来は描けない。
グーグルは当初はそんなことは考えてなかったはず。なぜなら、世界の知恵である有用で人類の記憶として残す必要がある本をデジタル化して、永遠に残せるようなボランティアを行っている。また、地球上のどこでも詳細に現地が見れるグーグルMAPを公開し、学術研究に利用されるまで精度を高めた。流通のAMAZON,YOUTUBEとネットを介した支配を強めるグーグルは今度はAIを手にした。
第2次産業革命で生まれた電信電話、自動車、石油の世界は人間を世界の隅々に住まわせ、瞬時に情報を送る。そして人と大量貨物の輸送を進めることができた。これにより多くのひとは幸せになれた。
だが、今回の第3次の産業革命はすでに地球上に行き渡った人類をさらに未開の地へ追いやることになるのだろうか?
人々の祈り、アジアの願い
いま、アジアで世界最貧国のひとつとされてきたネパールでアウトオブ・カーストの子どもたちが、大学試験を突破し、「人間は学ぶ機会さえあれば、わずか一代で貧困から抜け出せる」ことを立証しようとしている。
わずか250ドルあれば1年間学校へ通えるのだ。さらに優秀な生徒は奨学金を獲得しインドの名門大学へ進む。
カースト制度の壁を打破し、一代で貧困を打破できる。
人工知能は恵まれず、人生にただ1度もチャンスが与えられなかった子供たちに、どんな最適化したプログラムを描いてくれるのだろう?
もし、これが実践されると、その国の政府高官や汚職官僚に押しつぶされたボランティアは連携して、子どもたちの未来をもっと早く拓くことができるのに。
遅々として進まない。
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