ReuterJapanNews’s Dialy

バンコク駐在記者。ヤンゴンからチン州ミンダットに転戦。国際NGOと連携して国軍の攻撃から逃れる難民を救おうと頑張っています。

次元を旅する 巻き上げられた次元

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巻き上げられた次元

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世界でもっとも理解され難いことのひとつは誰もが見て感じることができる縦、横、高さの3次元。それに時間の次元を加えた4次元の時空。ここまではわかってもらえるのだが、この先の「巻き上げられた次元」についてはほとんど説明してもわかってもらえない。

巻き上げられた次元は1つと数える。これで5つ。

だが、恐ろしいことに現在の理論物理学でこの世界(われわれの宇宙)は10ないし11次元だと示唆している。

 

 では残る5つの余剰次元はどこにあるのだろう?

これが次元の最大の謎である。

われわれはまだ、そこまで賢くない。この巻き上げられた次元を発見したのはポーランド人学者のカルーザ。アインシュタイン一般相対性理論に電磁気力を統合することに成功した科学者である。

アインシュタインのシンプルで美しい一般相対論は、この世界の4つの力、重力、弱い力、強い力、電磁気力のそれぞれの式を統合し、この世界のすべてを記述する「万物の方程式」をみなが追い求めていた。その4つ目を統合したのがカルーザ。

ある日、アインシュタインに手紙が届いた。

「次元を1つ追加することで、方程式ができあがりました」という内容だった。

これについてアインシュタインは「巻き上げられた次元など、考えもしなかった」という。

 考えてみればコイルに電線を巻くと発熱する。磁力が生まれる。巻き上げれば違う世界が拓ける。

だが、次元学の面白さはそれだけではない。

順番が存在することだ。縦横高さの空間次元を優先し、その後に時間次元を置く。時間とは「物質と物質の変化に関わる経過」をさす。変化が生じないところには時間は生まれない。これを理解することで、次元の理解は飛躍的に楽になる。

では、もっと突き詰めると、空間次元だけという宇宙が存在するのかという疑問。答えは存在しない。

われわれの宇宙は、縦横高さの3つの空間次元が時間とともに圧倒的に広がった世界なのだ。アインシュタインが言ったように、時間と空間は切っても切り離せない時空という「織物」のようなもの。

だから、時間はあらゆる次元に寄り添っている。

では「巻き上げられた次元」はどうなのか?

巻き上げられた次元は一見すると、空間次元のように見える。理論物理学者たちは、「巻き上げられた次元はあまりにも小さいミクロの世界だから、われわれは普段、感じることも触れることもできない」という。

だが、そうなのだろうか?

次元の5つ目は巻き上げられた次元、では6つ目はウィッテンが示唆する膜状次元かもしれない。だが、わたしは、これに「膨張」を追加し、次元に加えるべきだと信じる。

 つまり、考え方として、縦横高さの3つの空間次元が巻き上げられている世界がある以上、時間が巻き上げられた次元、縦だけの1次元がコイルのように巻かれた2次元の世界だって思考の世界のなかでは存在する。

巻き上げられた次元を巻き上げた次元も存在できる。

ではわれわれの宇宙はなぜ、こんなにも理解し難い世界になっているのだろうか? 物質と物質が重力で絡み合って互いを回るしがらみが重くのしかかる世界。太陽は通常は1つ。2つ、3つある銀河も見つかっている。

 

これら次元の考え方を幾何学にすると、その形はカラビヤウ多様体になる。病的に捻じ曲がった空間。この多様体を研究するある理論物理学者が気が付いたことは、われわれの宇宙は、このカラビヤウのうちどれが対応するのだろうか? 

カラビヤウは無数にある。それも無限に近いほど存在する。この次元の組み合わせが、カラビヤウの形を決め、その形に対応する宇宙がそれぞれ存在するとしたら?

 

これが理論物理学たちが信じ始めたマルチバースの理論的な側面である。

 

 

われわれは宇宙の果てまでは行けるだろうか? おそらく1千年たって、科学技術が見つかって行けたとしても、その外にでることはかなわないだろう。

だが、思考の世界ではそれはできるのだ。方法は1つ。まだ、天文学と数学、物理学の境界がなかった時代。そう、フランスの巨人アンリ・ポアンカレが生きた時代(1890年代)に戻って、宇宙の形をもう一度、世界に問い直すのだ。

数学問題として、この次元と幾何学の問題を突き詰め、「数学の証明問題」に書き直せれば、それはわれわれは多元宇宙のなかに浮かんだ1つのユニ(1つの)バースであることを証明できる!

 

それができなければ、いくら多元宇宙論を発展させれたとしても不毛な論議にしかならない。

 

なぜ、重力はこんなにも弱い

 

もうひとつの謎。

われわれの宇宙を支配している4つ力。重力、電磁気力、そして、弱い核力と強い核力。このなかでなぜか、重力だけが格段に弱いこと。これをリサ・ランドール博士は、グリップに磁石を近づけながら説明している。

「地球がもつ重力に反して、これほど小さな磁石が重力に打ち勝つのは、驚くべきこと」と指摘する。地球とグリップ。その大きさの比率は目を見張るばかり。なぜ、こんなにも重力だけが弱い?

 

 われわれの宇宙の外に、重力を打ち消す何かが働いているのだろうか?

 

これもマルチバースが生まれたひとつの側面にしかすぎないが、有力な理論候補である。

 

そして、わたしが行き着いた袋小路。

縦横高さの3つの次元だけが極端に膨張したわれわれの宇宙は、曲がっていてもそこに住む住人にはまっすぐ見える事実だ。どんなに湾曲していても「まっすぐ」に知覚してしまう欠点。それを証明したのはアインシュタイン重力レンズ効果である。見えるはずもない太陽の裏側の恒星が見える有名な一般相対性理論を証明した重力レンズ効果の実証実験である。

われわれの縦横高さの空間がもし「巻き上げられていたら?」。

その可能性はあるのだ。縦横高さ、そして、その次に巻き上げ次元の順に次元が構成されていれば、あり得る。

次元の考え方は、低位の次元は高い次元を完全に支配する。以下の次元を引きずるように破壊的に振舞うことができる。

 

銀河が渦を巻いているように、宇宙が渦を巻いていることは十分考えられる。

 

 メンブレンという2次元のモノが宇宙の端から端まで

 

理論物理学はもうひとつ、われわれに謎をつきつけている。

それは10ないし11の次元のほかにメンブレンという膜状のモノが存在するという。これはウッテン博士が見つけた理論だが、ホーキング博士など理論物理学の主流派に受け入れられた理論。

それによるとこのメンブレンは2次元の膜で宇宙の端から端までの大きさに広がっている可能性があるという。

これは物質の最小単位を探るひも理論から登場したもので、われわれの世界は10-11の次元のほかに2次元のメンブレンまで備わっている!?

 

メンブレンについてはハーバード大学の終身教授職のリサ・ランドール博士が面白い比ゆを使って説明してくれる。

 

われわれの宇宙は、「バスルームの中の水滴がついたカーテンのようなものに付着している」という。

その水滴の1つがわれわれの宇宙に過ぎない。この宇宙は決してカーテンから逃れられない。カーテンの向こうの世界にも行けないし、カーテンから離れられない。しかし、隣の水滴宇宙とは一緒になれるかも知れない。

 

この水滴宇宙の例えの素晴らしいところは、われわれの宇宙の外側では光速の4倍のスピードで遠ざかる恒星が見つかったが、それを説明できるかも知れないことだ。

2つ、3つ、4つの水滴が1つに合体するとき、表面に近い側ではものすごいスピードで動くが、1個の水滴の中心はそれほど動きがない。この差が光速の4倍を説明する。

 

謎はまだある。

巻き上げられた次元はミクロの世界での話しで無限に膨張した縦横高さの3つの空間次元とはまったくスケールが異なり、小さすぎてわれわれには見えないし、知覚できないといわれる。10のマイナス23乗の大きさの世界の話。

だが、巻き上げられた次元も3つの空間次元と同じように無限に大きくなっていたら?

 

 

異次元は同じ座標にある

だから現れたり、消えたりする

 

 

われわれの宇宙にはわからないものが無数に浮いている。それがこのダークマターと呼ばれるものだが、これが異次元ものである可能性がある。数学的にあの次元の座標を思いだしてほしい。異次元あるいは高次元、そして低次元も同じ座標に存在している。この物体がその可能性があることは否定できない。

 

 

2乗するとマイナスになるルート。虚数である。イマジネーションiを日本語に翻訳したとき虚数になったが決して、この世界にない数字ではない。それどころか、現実の世界に i は次々と発見されている。虚数は次元への入り口で、その世界を記述しているかも知れないのだ。

 

次元を突き詰めて考えることは、マルチバース論を不毛な論争から、地に足をつけた数学に結びつけることができるかも知れないのだ。

 

これから素数ノ謎3に相当する「次元の扉」をおりを見て進めて行こうと思う。ときどき、訪ねてくださると嬉しいです。

 

次元を旅した男  次元の探検家 理論物理学者ジョエルと仲間の冒険

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