米コロラド大学のロジャー・ビルハム氏は、2018年後半からマグニチュード7以上の大型地震が起こる可能性が高いという警告を発表した。
今年は現在までに6つの深刻な地震が発生したものの、「比較的イージーな年だった」という。だが、2018年は今年の3倍、20ものM7超地震が発生する見込みだと指摘する。
ビルハム氏は同大学の名誉教授で地質学者。その根拠は地震と関連するあらゆる自然界の物理データの要素を調べた結果、地球の自転速度が5年続けて低下すると、その後に大地震が急増している事実を突き止めた。
1900年以降のデータをもとに分析したもので、確度は高い。
実はわたしは「6万5000年前 たった150人のウルトレイア」という人類のアフリカ脱出の真相を調べて取材中に、これと同じ説にぶちあたった。
ほかの研究者も地震と地球の自転速度の低下との相関関係に気付き始めている。
われわれはやっと正しい階段を上り始めたのかも知れない、、。
スマトラ沖
2004年のスマトラ沖の大津波。35万人が死んだ惨劇がまた、起こるのではないかと心配している。
なぜなら、赤道に近いほどこの物理の法則はあてはまり、影響を受けやすい。
日本の地震学者、島村秀紀氏も「自転が遅くなったから、地震が起きるとは限らない」としたうえで、相関関係については「あるのではないか」と踏んでいる。
地球の構造はマグマなど流動体と核など硬い物質とが異なる2重構造。回転速度は異なる。これを解消するため地殻流動が起こる。
人類史上、最大の爆発は7万年前のスマトラのトバ火山噴火。これが人類をアフリカから逃げ出させた原因だ。
わたしはこれほどの大噴火が起きたのなら、アフリカの大地溝帯は裂けたと見ている。つまり、川と湖、沼があふれ人類や生き物を育んだ人類の発祥地(エチオピアの近郊)が川底や湖底から硫黄や火山ガスが噴出し、呼吸が困難になり、当然、水も飲めなくなる。
実際に、ジブチに入ったら、未だに当時と似た風景が見れる。なぜ、われわれは気づかなかったのだろう?
ビルハム氏らが20世紀においてM7超地震の発生が25~30%増加した5つの時期を特定したところ、この時期は自転の減速と軌を一にしていた。特に赤道に近いカリブプレートでは、1990年以来起こったM7超の地震の80%が、自転の最大減速から5年以内に起こっており、来年から5年間は30ほどの強い地震が起こる恐れがある。
解説
地球の自転は?
地球の自転は、潮汐力と呼ばれる月との間の重力相互作用によって、100万年以上にわたって徐々に遅くなってきた。しかし短期的(10年間~50年間程度)に見ると、常に遅くなっているわけではない。例えば1970年代の1日の長さ(LOD)は、86 400.003秒程度、すなわち86 400秒に比べて3ミリ秒程度長かったが、近年(2012年から2013年)のLODは、86 400秒より1ミリ秒長い程度(6月~8月には86 400秒よりも短くなる期間さえある。)である[。これが1970年代から80年代には毎年のように挿入されていた閏秒が1999年以降は平均して4年に1度程度しか挿入されていない理由である。
LODの変動のうち最も大きな影響を及ぼすのは、潮汐であり、0.6-0.8ミリ秒程度の変動を引き起こす。これ以外に大きな影響を及ぼす物は季節変動である。
マグニチュード9前後の巨大地震もLODに若干の影響を及ぼす。2004年のスマトラ島沖地震では、自転速度が速くなり、1日の長さ(LOD)が6.8マイクロ秒短くなった。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震でもLODが1.8マイクロ秒短くなった。ただし、この巨大地震の影響は潮汐の影響の1/100以下の微少なものに過ぎない。他に地球温暖化による極地の氷河が解け、水が移動することによる変化によっても1日当たり1ミリ秒ほど遅くなる影響を及ぼす。
2018年6月28日追記
「南海トラフ地震の発生はおよそ100年周期。前回からすでに72年が経ち、プレート間のひずみがかなりたまっている」という。
また島村英紀氏(地震学)は、南海トラフ地震が起きる20~30年ほど前から西日本で内陸型地震が多くなる事例が過去にあったと警鐘を鳴らす。
「前回の南海トラフ地震(1946年)が起きる前にも北但馬地震(25年)、北丹後地震(27年)、鳥取地震(43年)といった内陸直下型地震が続けて起きた。5年前に兵庫県淡路島付近でM6.3、3年前には徳島でM5.1の地震が発生していますが、今回の大阪北部地震を含めて南海地震の前触れだとも考えられます」
いつでも起こり得る大震災への備えが必要だ。
地震学、地震予知学には限界がある。地球内部でどれほどのストレスが溜まっているかはわれわれは観測する技術をもたないからだ。