自殺防止ホットライン
ビットコインなどの仮想通貨の価格がここ1カ月で半分になったのを受け、米ニュースサイト、レディットは、大損したユーザーのために自殺防止ホットラインを設置した。
レディットの仮想通貨フォーラムを利用する約50万人のユーザー向けに、全米自殺予防ライフラインへのリンクが張られ、海外ユーザー向けにも自殺予防やメンタルヘルス関連のリンクが用意された。
ビットコインをはじめイーサリアム、ライトコイン、リップルなど人気の仮想通貨が軒並み下落した背景には様々な要因がある。韓国と中国が仮想通貨取引の規制強化に乗り出すとの報道や、米ビットコネクト社が取引所の閉鎖を発表したことも影響した。
レディットで自殺防止を呼びかける投稿をしたあるユーザーは、今回の急落で損害を被ったのが誰かを説明した。
「いちばん損をしたのは最近になって買い始めた人や信用取引をやっていた人、それにデイトレーダーたちだろう」とする投稿には、4万5000以上の支持と3000件以上のコメントが寄せられた。「60日以上保有していた人たちの大半は、まだ安全だ」。
韓国では自殺者も
仮想通貨の価格が急騰した2017年後半、ジョージ・ポペスクは、価格の乱高下で損失を出した人向けに自殺防止ホットラインを特設する必要があると訴えた。ポペスクは2016年8月にICO(仮想通貨版のIPO)で1400万ドルの資金調達をしたことがある有名人だ。
「借金をして仮想通貨に投資する人たちは、荒っぽい相場で大損しかねない」と、ポペスクは韓国の英字紙「ザ・コリア・ヘラルド」に語っていた。
ビットコインの価格変動が原因とみられる自殺は過去にもあった。昨年12月、レディットのフォーラムには、ビットコインを売り急いで儲け損ねた後に自殺した29歳の男性の話が投稿されていた。
投稿者は「私の兄はビットコインのせいで自殺した」というタイトルで、1万5000ビットコインを売却した後、2017年後半の暴騰を見て塞ぎ込むようになった、と書いた。「兄は音信不通になった。心配した両親が自宅を訪ねると、自殺していた」
「大金を儲け損ねたのは同じなので、自分も自殺したかった。大金持ちになって遊んで暮らすのが夢だった兄の気持ちは痛いほどわかる。自らその機会をドブに捨ててしまったんだから」
世界に広がる不安
仮想通貨の価格は、取引所ハッキングにともなう不安と各国の強力な規制が相まって墜落している。先月、日本の仮想通貨取引所「コインチェック」での580億円規模の仮想通貨ハッキング事件以後、日本政府はすべての取引所に対する緊急実態調査に乗り出した。
米国では、仮想通貨取引用コインの実体に対する疑惑が高まっている。米国商品先物取引委員会(CFTC)は、最大の仮想通貨取引所の一つである「ビットフィネックス」と仮想貨幣取引用コインを発行する「テザー」に召喚状を発行したと<ブルームバーグ>が先月31日報道した。
ビットフィネックスは、仮想通貨取引の際に米ドル貨幣の代わりにテザーが発行したコインを使うと知られている。テザーのコインは1個あたり約1ドルの価値で取引されている。だが、テザーがコインの価値に該当するだけのドルを実際に保有しているのかについて疑惑が提起されている。二つの会社の最高経営者は同一人物だった。
仮想通貨取引所は、外部のハッカーはもちろん、設立者の技術的な操作の可能性に脆弱だと指摘されてきた。2014年、日本のビットコイン取引所「マウントゴックス」がハッキングで破産した時も、最高経営者が取引システムを操作してビットコイン口座の残高を膨らませた疑いで警察に逮捕された。
米証券取引委員会(SEC)は先月30日、詐欺の疑いがある仮想通貨公開(ICO)を通じて投資家から集めた資産を凍結し、追加仮想通貨公開を禁止した。
中国は仮想通貨取引の禁止に続き、取引所と類似の機能を有するウェブサイトやモバイル・アプリに接近することも遮断した。
韓国政府は、仮想通貨取引に実名制を導入した。