ReuterJapanNews’s Dialy

バンコク駐在記者。ヤンゴンからチン州ミンダットに転戦。国際NGOと連携して国軍の攻撃から逃れる難民を救おうと頑張っています。

SKYLIM ストーリー編スタート

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クラウディアの最期

 

SKYLIM ストーリー編

 


  朝起きると、クラウディアはアレクサに「おはよう。今日は晴れてる」と聞いた。
「おはようございます。クラウディア。雨ですよ。もしかしたら世界のどこかで地震が起きるかもしれません」。


アレクサとは、アマゾンエコー(人口知能を搭載したスピーカー)だ。クラウディアは戦慄を覚えた。アレクサが彼女の仕事をどうしてわかったのだろう?
アラスカ大学で自然科学者のたまごのクラウディアは、彼女が頻繁に検索していた地震に関する過去のデーターをアレクサに知られていたのだ。人口知能だから学習して日々、賢くなっている。まだ、14才ぐらいの知能と思っていたが、最近、飛躍的に伸び始めている。


「何時ごろ、どこで起こるの?」
クラウディアはいくぶん怒りをにじませてアレクサに聞いた。
スマトラ島です。日付け変更線をまたぐので、今晩、夕方ぐらいでしょう?」
「どうしてわかったの?」。
「あらゆる兆候がそう言ってます」。
「例えば?」
「3カ月前からスマトラ島で魚が大量死しています。それは地元の新聞が書いてましたよ」。


「それって、もしかして、英語でない新聞?」
「そうです。インドネシア語です」。
いつからアレクサはインドネシア語が翻訳できるようになったのだろう?
これなら、われわれ人間より早く、確実な情報を手に入れ、私の論文やもっと権威ある学者たちの評価法とも精査できて、使えるかもしれない。
彼はどんどん進化していた。
クラウディアは、同じ学年のクラウス(ドイツ人の研究生)に今朝のアレクサの地震予報について、話した。


クラウスは、その重要性について、すぐに反応して、教授室に向かった。すでに2人の研究生が訪れていたが、クラウスは声を大きくして、教授に
「人口知能がスマトラ沖地震を予測しています。今晩ですよ」。
「そうかね。クラウス、それにクラウディア。きみたちはいつも一緒だね」。
「ここ2-3カ月にはあるかも知れないというレベルだが、それをAIが予報するなんて、思っても見なかったよ」。教授のアルフレッドは白い髭をしごきながら、遠くを見つめるまなざしで、みんなで情報を共有しよう。西海岸だけなく、アジアからの参加も期待して、テレビ会議を1時間後にはじめる。

その前に、あらゆる情報を大型モニターにだしてくれ。

 

 

インドネシアはアジアでは中国についで大きな領土をもつ海洋国。首都のジャカルタは、赤道近くにある。
スマトラ島は、火山の巣で、過去に幾度となく爆発を繰り返している。その被害はほとんどが、火山の爆発より、地震とその後の、津波にようもので2004年に起きた大須波では周辺もタイのプーケットなどを含め、22万人ものひとが犠牲になった。
観光客がビデオを持ち込んでいたため、次々とテレビに映し出される衝撃的な映像に世界中が震撼した。

 

アメリカ中から緊急援助の申し込みが、一カ所に集中した。
それはアメリカのサンフランシスコで、テレビニュースにコメンテーターとして出演していた「ルーム・トー・リード」のCEO、ジョン・リードさんが、地震の被災をいち早く知り、アジアでのボランティアの経験を買われて、コメンテーターとして呼ばれていた。
彼は募金を呼びかけたのではない。しかし、彼のサンフランシスコにある本部事務所があるオフィスには募金の申し込みが殺到していた。一向に鳴り止まない電話に、スタッフは嬉しい悲鳴をあげた。

 

 

だが、本当の惨劇はその6時間後にアラスカを中心とした北米西岸を襲っていた。スマトラの地球の裏側は仏領ポリネシア領の小さな島々があるだけ。スマトラ島を襲ったマグマのエネルギーは、アラスカの火山を大爆発させたのだ。
短い余震のあと、本震が襲った。火山の近くには大きな町はない。しかし、それから1時間もしないうちに、スマトラ沖地震のものと思われる津波が襲来し、アメリカ西海岸を洗い流し始めた。

 

アンカレッジではクラウディアたちは、2手にわかれ、行動していた。すでにエドワード教授と助手のクラウスはスマトラをめざし、デンパサールに飛び立っていたのだ。緊急チームは総勢3名。クラウディアは人選からもれて、情けない思いと屈辱にまみれ、AIのアレクサに洋服の大量購入の支持をだしたばかりだった。
アレクサは突然、答えなくなった。死んだのか?
クラウディアはアレクサを揺り動かすが何の応答もない。この音声反応型AIはただの、音声対応型AIではない。クラウスが学習強化型にプログラムを追加してくれた成長型である。


クラウスは中学校で授業がつまらないと、言いはじめ先生と校長、それに両親が何度も話し合わなければならないほど、先に進んでいた。ギリシャ人の父とドイツ人の母をもつ、クラウスは知能テストを受けさせられ、その結果、2年も飛び級させられ、中学1年終了時に高校へ編入されたのだ。
彼は同級生のなかで異質なため、孤立していた。そのため被害妄想がひどくなり、田舎のアンカレッジへ転校してきたのだ。


クラウディアは「ミス・アンカレッジ」と呼ばれるほどの美しい娘で、ふたりはすぐに同類だと気づいたのだ。
クラウディアは才媛だったが、クラウスは天才肌。クラウスの発見や発明は主にコンピュータのプログラミングで発揮されるが、クラウディアのそれはひととの関係であった。


誰からも強力を取り付ける才能は、クラウスにはないもので、彼が考えるものごとの解決策は、クラウディアが関わることで、成功に導かれることが多かったのだ。
それが、今回のスマトラ地震では切り捨てられてしまった。
「堕ちたアンカレッジのビーナス」。これまで無敵だと思った人生にはじめて陰りをみせたように思われて仕方なかった。

だが、ライデンのような爆音と振動がそれを吹き飛ばしてしまった。

 

 

SKYLIM 学術編の第2部スタートです。

こちらは映画シナリオです。
 

 

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