ReuterJapanNews’s Dialy

バンコク駐在記者。ヤンゴンからチン州ミンダットに転戦。国際NGOと連携して国軍の攻撃から逃れる難民を救おうと頑張っています。

タイに移住しよう テーメー戦記&コヨーテ 2

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2、SOI  COWBOY

 

わずか150mほどの小路に50店がひしめきあう、バンコクでもっとも勢いのある歓楽街に躍り出た。スクンビッド通りと平行している小路。ソイ21とソイ23を結ぶこの小道には50-60店がひしめき合う。

最初からこれほど人気があったわけではない。2000年ごろまではナナプラザの方がはるかにメジャーだった。しかし、ナナプラザの度重なる取締りで摘発される店が相次ぎ、その間、ソイ・カーボーイは見放されたようにほとんど手入れもなく、成長した。

最初の成功はバカラ。ここの客引きはかつては黒服を着たおんなのこで、この界隈では一番の美人をライナップした。さらに空きがでた隣地を契約して店を大きくすることに成功。この時代を知らない観光客はなぜ、バカラだけ人気があるのか不思議に思うだろう。店の前に客がたむろしている。歴史があり名が響いているからである。コヨーテダンサーも最終的にはこの店に立つのを憧れるほどだ。

何しろプーケットでタイガーのハリボテがあるPINKという店の看板ダンサーもバカラへ移籍した。

店には決まりがあり、店舗の境界線までが客引きできるエリアでそれを超えると、次の店の娘たちが呼び込みをかける。執拗ではない。なかにはあくびをかみ殺している娘もいる。

呼び込みの娘をプロモガールといい、なかにはそれ専門の娘もいる。成績がいい娘が店のマネージャーから好条件を提示されて、わざに磨きをかける。

なかでも笑えるのは、お星様キラキラを踊りながら左右に移動してお客を待ち受ける20ぐらいの小柄な娘だ。狙いは欧米客で、確率はほかの店に比べ高い。時々、マネージャーが発破をかけにくる。彼の胸を叩き、「任せて!」というジャスチャーをしながら、タバコを吹かす。

やはり、お店に呼び込めるのは限られた娘で、彼女たちの能力が店の営業成績に大きく左右する。

だから、店の女の娘がほとんど総入れ替えされることもあるのだ。市場原理が働き年々規模を大きくする店は、系列店とはわからないように2-5店舗を経営している。なぜ、わかるかと言えば、隣で客引きをしていたプロモガールが違う店のコスチュームを着て別の店の前で営業しているから。

老舗のムーン・シャイン・ジョイント、SAHARA、 SPICEGIRL、SOICOWBOY2 は同じマネージャー(男と女)が店内を出入りしている。

53番の娘はボルディー(禿げ)に的を絞って、声をかけていた。嘘だろーと思うが本当。一度、向かいの娘に先をこされ悔しがったそぶりでわかったのだ。しかし、出てきたところをすかさずキャッチ。この体当たりの肉弾営業にはどんな男も堕ちてしまう。

 

 

バカラの近くに昔からスージー・ウォンという店があり、20年近く営業を続けている。そのせいで年老いた老兵がここでママと抱き合っている光景を目にする。そのほかはほとんど入れ替わっている。

カウボーイ2号店、スパイス・ガールなどは人気だ。今はあまりお目にかかれないが、2000年ごろまでは、当局がほったらかしにしていたせいで、おんなのこは店内では全裸で踊っていた。その名残は今も残っており、ある店はでは午前2時を過ぎたころは数人のダンサーは全裸になっている。

 

 

 

ソイとは小路(小道)のことで、ソイ・カーボーイは1970年代に米国空軍の退役軍人だったT・G・ エドワーズが「ロレッタ」というお店を開いたのがはじまり。安いうえ明朗会計で 、今のように店で踊っているおんなのこを連れて帰れる仕組み。そのおんなたちはテンガロンハットにカウボーイのコスチュームを着せたことから大流行になった。このころはまだ、田舎娘の登竜門とかいわれ、垢抜けない娘ばかりだったようだが、彼女たちは2,3カ月で変身する。英語を覚え、懸命に恋人を作ろうとするタイ女性のけなげさが、米兵たちの心を捉えた。中には退役してアメリカに女性を連れ帰った軍人もいたのだ。まさに、リチャード・ギアの出世作になった映画、邦題「愛と青春の旅立ち」を地でゆくストーリーがここでもあったのだ。

田舎の18才ほどの娘は、一家の稼ぎ頭として、バンコクにやってくる。彼女の仕送りで弟や妹は学校へ行けるのだった。特に長女はがんばらなければならない。タイの伝統的な一家は末娘が家の跡とりとなり、年老いた両親の面倒をみる。役割分担があり、長女はおカネを稼ぐことに集中する。そして、彼女たちが夢見るもっとも高い理想が、カネ持ちの国アメリカへ嫁いで行くことだった。

今は昔の話だが、その頃、青春を謳歌したバンコクやここからバスで90分ほどの米軍の保養地パタヤに舞い戻ってくる元米兵は多い。特におんなの娘を指名するでもなく、ビール一本、しかもハッピーアワーにやってきて、チビリチビリと飲みながら、目の保養をしているのだろう。やせ衰えてしぼんだ腕や背中に軍人の面影はない。だが、時どき輝かせる瞳に、かつて、胸をときめかせた時代があったことを偲ばせる。短パンにランニング、これでは女の娘は近づかない。それでも彼らはいいのだ。ここで過ごす夜が好きなのだから。同じ戦場に行った仲間がいればなおいい。

 

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3、ナナ・プラザ

 

ナナプラザはホテル横にあったスーパーのコンプレックス(複合施設)だったが、それを改装してゴーゴーバーとバービアの複合施設にした。最初は1階に人気店が集中して、2階にお客があがって来ないから、ぼったくり店が多かった。ところが、米兵や元米兵は黙ってはいない。店で店員と喧嘩するわ、警察に訴えるわで、そうしたボッタクリ店はすぐ閉店に追い込まれる。

今では観光はタイの国家プロジェクトになっているため、こうした歓楽街にはツーリストポリスが出店をだしている(笑)。

店内で喧嘩をするお客や支払いをしない客は、逆にこのツーリストポリスに派出所に連れ帰られる。ナナプラザは一階にはほぼ万遍なくお客が入るが、2階、3階になると厳しい。そこで最近は時間を区切ってプロモーションを1階のガーデンで行っている。あまり、激しい客引きはない。

気をつけないといけないのが、レディーボーイ専門店がかなりある。看板に謳ってない店もある。なかには驚くほど美貌のレディーボーイもいるし、腰つき、喉仏など注意して見てもわからない固体もいる。それほど整形美容は進化している。しかも、声も完全に女性。パタヤなどでは腰が三角形で変な形の骨盤をしたレディーボーイを見ることができるが、ナナプラザでは見分けることができない。

 

その例は2階の入り口の陣取るレディーボーイ専門店(そんなことは謳っていない)のストラップ。わなである。中国系の綺麗な肌をした妖艶な娘がいる。それもぎりぎりまで面積を切り取ったビキニのパンティー。紐である。そんな娘が2階のテラスから手招きをする。吸い寄せられるように中東の男が入って行く。レディーボーイは彼らイスラム世界の一部のひとに需要があるのだろう。バングラディシュ、インド。パキスタン、それからペルシャや中東方面のひとは見分けがつきにくいが、彼らが吸い寄せられている。なかには中国人もわからずに入ってしまう。ストラップ、恐るべし罠。

どの店も客層を狙って店作りをしている。

 日本人を狙った店はロリポップ。スコール。可愛い短いスカートにフリフリのついたパンツの三角形がのぞく。お客が誘いに乗らないと泣くマネをするなど可愛い仕草を見せる。

 客引きはおんなのこのペアで、2人で「これからガンバルぞ!」と気合を入れる仕草がかわいい。曲にあわせて腰を振りながら気分を盛り上げる。

 

 ナナプラザに行政視察が入ることがある。消防施設などの安全性の確保や深夜営業時間の遵守や女性たちのHIV テストの徹底など。これは一時、バンコクエイズが猛威を奮い、感染者が100万人に近いという記事がでたことから、観光を国策として掲げるタイ政府としては、厳しい対応を迫られることになった。その施策のひとつが、従業員女性のHIV 診断書を提出しないと、雇用しないというものだ。

 ことの起こりは2000年末ごろ、イギリス政府がタイから帰国した男性にHIV感染者が多いことから、新聞が書きたて旅行者に警戒を呼びかけたことにる。これで観光客(男性)が激減し、タイ政府も動かざるをえなくなった。

つまり、店の娘は安全だが、HIVの診断書が提出できなくなった娘は、フリーランサーにならざるをえない。

ツーリストポリスもテレビや新聞社を集めて、出陣のデモンストレーションを行う。

 

4、タニヤ

 

 かつての勢いはない。日本人駐在員のためにできたタニアはSOI

COWBOYなどに比べ、料金も高いというイメージが定着しており、欧米人には人気がない。狭い小路に約60店がひしめきあう。コロニアル風に1階が店舗で2階は宿。1階にはホテルのロビーや、レストランもある。日本人客が激減し、クラブ風の店ではやっていけなくなった店が衣替えした。一見、便利そうに見えるホテルだが、歴史あるブロサッリー(連れ込み宿)なので、ここに宿泊するのはやめておいた方がいいかも知れない。

 日本語をしょべる女性が売り物だが、英語もタイ語もできないひとには安心できる場所だ。夜もふけると一階のテラスで女性が涼む光景がみられる。行き場のないレディーボーイがものうげにタバコをくゆらせる。何時間いるのだろうか。その横をシルクのガウン(日本の浴衣を思わせる)を羽織った美しい娘が買い物にでて来た。20才ぐらいだろうか。

 

2000年ごろまでは昼間に入れる店があり、タイの農村部から出てきたばかりの娘が昼ねの相手をしてくれるモーニングサービスというのがあったと駐在員が教えてくれる。彼女たちの夢は、いい旦那様を見つけて、お店をもつこと。それを叶えた娘もいるが、そんなのは砂漠の1粒に過ぎない。ほとんどは失敗するからだ。

 タニアへはバイクタクシーを利用すると夜なら5-6分でつく距離にあるので、衣料品や偽ブランド品をひやかすのにはいい場所だ。ただ、それほど安くはない。時計からバッグ、財布までいろんなA級からB級、C級の品が夜ともなれば軒を借りた屋台ショップに並ぶ。熱帯の街なのでこの街で使い捨てと考えた方がいい。持ち帰ると没収される。

  

 

タニアを襲った注射器娘

 

2000年の世紀末、「注射器娘」の出現でタニアは大打撃を蒙った。この界隈のひとは知っているが、店で働いていた娘が客からエイズを移され、将来を悲観したあまり、自分の血を注射器に吸い上げ、路地で待ちうけ客を襲ったというエピソード。これを詳しく調べたのは、ここでお店を経営するマネージャーで、各店のマネージャー同士で横の連携をとり、調べたところ、該当する店はなかった。それに、その注射器娘、本人を知っているひともいない。つまり、噂が伝播し、本当に街全体に被害がおよんだ「また聞き」による口害だったらしい。

 この話は今ではばかばかしいと笑えるが、当時は実際に起こった怨念による襲撃事件の様相で、このため店の従業員が出勤しなくなった。だが、話好きのタイ人気質で、目撃したというのは、誰もが知り合いの友達とか、かなり離れている。

 この頃のエイズ禍はすごい勢いで、政府が実態を発表するのが遅すぎ、逆に海外から指摘されて対策を行った。対策のひとつは従業員に定期診断を受けさせ、HIV検査結果を提出しないものは、働けないようにした。コンドームの着用キャンペーンとあいまって、タイに再び、観光客が帰ってくるのにはそれほど時間がかからなかった。

 その理由のひとつはすでにタイは、アジアのなかで突出した魅惑の観光地になっていたからだろう。

 その魅力にひきつけられ様々な人種が集まる。タイ人のルーツはマレー系、つまり、肌の色が少し黒い。それに色白の中国系が混血して、現在の情熱的なタイ人ができたというわけ。様々なカラーが見られるのは、未だにインドネシアインドシナ半島南からひとが流れ込んで来るからだ。

また、身体がほっそりとしてまっすぐの黒髪のベトナム系も入っている。さらに、インド系、アラブ系、いろんな人種がミックスしている。

 

 

 

 

5、ファランの移住地

パタヤ 永遠の楽園

 

 長期滞在者はバンコク市内からバスで90分ほどの海岸の街パタヤに集中している。バンコクより物価が安く、ホテルなども廉価。600ドルぐらいからいくらでも見つかる。バンコク市内からは是非、バスを利用したい。バンコクで知り合った現地のひとが車で送ってあげると誘われても、そのあと車が故障したなど、難癖をつける詐欺が昔からあるからだ。パタヤは実に地理的にわかりやすく整備されており、ガイドの必要はまったくない。病院や警察などもわかりやすい場所にある。

プーケットにはトゥクトゥク・マフィアのようなものが報告されており、ボッタクリがあるが、米軍の保養地として開発されたパタヤは、米兵がこうした不法行為を許さないのでまず、嫌な思いをすることが少ない。

そもそも、ベトナム戦争時に米軍とタイ政府の間で、レスト&レクリエーション条約(R&R条約)が結ばれ、ベトナムで戦う兵士に休暇と保養をタイが提供する内容。

ホテルは未だに増え続けており、ハイシーズン(年末)以外はどこでも選べるほど。ただ、歓楽街に面したホテルは深夜2時を過ぎても騒音で悩まされることがあるので、フロントに聞いてみよう。

 歓楽街の中心は2つ。ソイ6-ソイ8、それからウォーキング・ストリート。いずれも海岸に面しており、海がどちらにあるかを気にかければどこにいても現在地がわかる。ウォーキング・ストリートは2016年ごろから中国からの団体客がすごい勢いで増えており、その前から入っていたロシアの旅行者の増加とあいまって、パタヤの観光客は増え続けている。どこにいても中国語を聞かない日はないほど。パタヤウォーキング・ストリートは海岸に沿って西側を目指せば行き着く。ここに1000軒ともいわれるバービア、それにディスコ、ショーパブなどが乱立する。

バービアはコンプレックスに様変わりして、大型店内にそれぞれ区画ができ、団体が何人でも入れるほど巨大。昔はゴーゴーバーと呼ばれた形態の店も健在で、2016年末にオープンしたスカイフォールなどは美人をラインナップしており人気。ディスコはウォーキングストリートの終わりにあるアイバーとインソムニアが成功した。ここにはロシア人観光客の団体が入ってくるため、どこからかベトナム人のフリーランサーたちが同伴しているケースがみうけられる。

アイバーは1階の海に面したオープンバー、インソムニアはディスコ。両方ともレディーボーイは入店できない。そのため、外にたむろしている。また、おんなのこでも入店を拒否される娘もいる。これまで問題を起こしたためかどうかはわからない。

この2店は「フリーランサー・バー」とも呼べる。バンコク市内のテーメーを進化させたらこうなったという形態だ。しかし、2017年には 人気がですぎて、入れない客がでている。それでもセキュリティーは厳しくボディーチェックして入場を制限する。

ポリネシア系のガードマンはまるでラグビー選手のように厳つく、カジノやバーのバウンサーに近い。この店ではないが、暴れた客が外に引きずりだされ、殴られているのを見たことがある。しかし、こぶしで殴って怪我を負わせるのではなく、上から叩き落とし、這い蹲らせ、暴れないようにする程度で、「そのままにしていろ」と言って引き上げる。

めったにないが、通常は2-4人に挟まれて店外に連れ出されるだけで終わる。

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