ReuterJapanNews’s Dialy

バンコク駐在記者。ヤンゴンからチン州ミンダットに転戦。国際NGOと連携して国軍の攻撃から逃れる難民を救おうと頑張っています。

素数ノ謎 第2部 ウクライナへの道

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素数ノ謎 第2部 ウクライナへの道

 ジャーナリスト養成なるか 

 

 アルキメデスは当時世界一の国際的学術文化都市アレクサンドリアで学んでいた。そのアレクサンドリアは頻繁に宗教者たち(キリスト教徒、さらにイスラム教徒)に襲撃された。エジプトは当時の統治者ローマ軍に国の安全を委ねていた。しかし、軍事力のない世界一の文化都市は跡形もなく人類の英知とともに消え去った。

 

 いわば現代の中東と北アフリカの『難民たち』が地中海を渡り、たどりついたのと同じ状況だったのだ。死体が10m間隔で打ち上げられた海岸。リビア人の密入国を手引きするブローカーは小さな2層構造の漁船を仕立て、300人からひとり50万円以上の金をとってぼろ儲けをしていた。

船は操船すらままならず、強風と荒波で簡単に転覆した。転覆しなくても、ブローカーはつかまらないよう海岸線が見えると漁船を沈め、海に投げ出された難民はほとんどが泳げなかったのだ。

 

 

 

 

バンコクの昼下がり

チュラローンコーン

 アンジェラを復学させるため、2人でバンコク市内にあるチュラロンコーン大学キャンパスにやって来た。荘厳な建物を目のあたりにして授業料が高そうだなと思い、一瞬ためらった。しかし、1年間の学費は日本のサラリーマンの給料1カ月分より安かった。アンジェラは簡単に復学できた。タイの最高学府は文学部にタイ文化を伝えるためのカリキュラムを開設しており、学内の設備が自由に使えるのでわたしもこのコースに入講する。

それはなぜかって? 授業がすべて英語で行われ、クーラー完備の学内設備がすべて自由に使えるのだ。そして、これから計画していることに必要な人脈がみつかるかもしれない。

 

 東南アジアの首都にある大学は非常に便利でホテルなどの設備などに比べると、価格が1/10で、食事、運動、図書館、クラブ活動など好きなことができる。これに気を良くしたわたしは、バンクーバーの田舎でくすぶっているスコットに、電話した。

彼とは時々、近況を知らせ合っており、アラスカ大学に入るため大型のアウトドアショップのインストラクターのアルバイトをし、学費を蓄えていた。

バイトで1年は学費を払えても、とても続けられそうも無い」と悩む。180センチある男なのに繊細な神経の持ち主は将来、あんたみたいに海外を自由に渡り歩く仕事につきたいとこぼす。

 

「こちらは物価が三分の一だし、おんなの子は毎晩、ほとんど裸で踊っているよ」と教えたのだった。

「うそだ。そんな話は信じられない。かついでるだろう?」

「選び放題。人種の坩堝。タイ娘、中国、ベトナムウクライナ、ロシア、韓国までいる。夜中の2時すぎると裸だよ」。

21才のおとこはこれに素早く反応して、バンコクにやってくる決断をした。

これでアンジェラの英語も上達するし、スコットをジャーナリストに養成できるかも知れない。カトマンズでコンクリートで頭を打ち据えられてから、まともにアタマが働きだした瞬間だった。

アンジェラからは「あんたやっぱりおかしいよ」と訝られていた。それはこの熱帯の街ではいくらクーラーの効いたホテルの室内とはいえど、意識が眠っていることが多い。

たとえ、意識が起きてても、効率的な働きができない。それは、どの国からも占領されたことのないタイ王国からなぜ、世界を揺るがすような研究者が現われないのかということからもわかる。

 いろいろ理由を並べてみても、結局は素数の壁を突破できずに2カ月、3カ月と季節だけが周っていた。わたしはどうやら「ぼーっ」としていたり、ぼんやりしていることが多い。

「ほろ、フランケン博士、口をあけて」。アンジェラにずっと面倒を見られていた。

アンジャラのパソコンにデスクトップにある動画が貼り付けられていた。

彼女の動画編集のセンスがどんなものか気になったので、見たら、なんと、登場人物はわたしひとり。

ほとんど全裸でベッドに寝ていたり、風呂から裸でいったり来たり、そして、食事中に考え事をしながらアンジェラが無理やりタイ料理を食べさせるさまだ。

数学の問題を考えている様子はまるで、虚脱したアホのように見えることに気づかされた。5進法、10進法、13進法を考えていたころに比べ、症状はだんだん重くなっている。アンジェラが最後に撮ったころは5乗のべき計算の世界を考えていた時期だった。

タイ語で解説がつけられていたが、意味がわからないので、コピーペーストし、英訳すると、彼女がとてもその状況を心配していたことがわかった。動画のタイトルは「ダー」。おそらくダーリンの略、穴があったら入りたいほどはずかしい。思わず削除しそうになった。 が、見たことがバレルのでやめた。

 

 

 

極北からきたポーラベア

大学から歩いて15分の距離に学生寮があるというではないか。ホテル住まいの2人にしたら、ここに入れば元を採れるようなものだ。1人部屋のほかに2人部屋、3人部屋、それに6人部屋まである。スコットも来ることだし、2人は勇んで申し込みに行った。当然、覚悟していたが空き部屋待ちで、学期中にたまに空くこともある。そのときは、電話で知らせがくれるという。

このコースの学生は社会人もいる。一般の学生たちはアルバイトに忙しく、様々の国籍の学生が留学していた。わたしが知っているだけで、ナナプラザ向い側にオープンしたばかりのフーターズで、陸上選手の娘が働いていた。あまりに筋肉質なので皆から何の選手だと聞かれるそうだ。ウェザースプーンは100mランナーだった。

「オリンピックにはでないの?」と聞くと、正直に「規定タイムに1秒足りないよ」と笑ってみせた。頭にゴールラインに10mも遅れて走る彼女の姿が浮かんだ。

それだろう。こんな暑いさなか100m走れるだけ偉い。

「ドイツ人の筋肉野郎がわたしのショーツにチップをねじ込もうとするの。そういうのがいやで、ウエートレスしているのに、しかも踊らなければならないのよ。ダンス、観て帰る?」。

せっかくなのでビールを飲みながら待っていると、ウエートレスたちがカウンターの前に一直線に並んだ。楽しそうに笑顔を浮かべて脚を前後に蹴り上げるが、全員照れ笑いを浮かべている。こんな感じ

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まるでYMCA体操だった。健康的すぎて、笑える。

 

レディーボーイの韓国人アンの所在がわからないので心配していた。アンジェラが空手の稽古代にしていて、それがいやで身を隠したのかも知れない。もしかしたら性転換手術に走ったのではと思い、探していた。

それで以前勤めていたソイ・カーボーイにあるCOCKCUTという店を訪ねることにした。午後に空港からピックアップしたスコットの荷物をホテルに置いて、彼の歓迎会を開くつもりで繁華街へ繰りだした。アンジェラも合流する予定だ。

筋肉のお嬢さんとバンコクでの生活を話していたら、

「いま、どこにいる?」とメールが飛んできた。

 

スクンビッド通りのソイ・カウボーイ150メートルあまりの小道には両側いっぱい、女の子が並んで客引きをしている。両手をひろげて行く手を塞がれたり、2人に挟まれたりとうせんぼされる。だがどの娘も笑顔なので、怒り出す客はいない。それでも10m進むだけでも大変だ。原因はスコットである。ヨーロッパや北米からきた白人をタイ人は”ファラン”と呼び、それをお客や恋人にすることはステータスなのだ。

もちろん、禿げ上がってたり、皮膚がたるみきった老人は相手にされない。観ているとわかるが、店の幅4、5メートルの前を通る客がターゲットなら、その前に両手を広げて通さないようにする。手を握って、瞳で妖しく誘ったり、笑顔で踊ったり、脚を絡ませたり、いろんなパフォーマンスがある。

なかには、お星様きらきらと両手を挙げて、満面の笑顔で客の前を行ったり来たり。小柄な娘がやると、見ていると心が和む仕草で誘う。

その娘の店は「ミッドナイト」という店名なので、違うからさらに先を探そうとすると、スコットの腕に全体重をかけてひき止めようとする。しかし、それも店の幅を通り過ぎるとやめる。まるで、アメリカンフットボールの敵陣奥地である。

どうもこの歓迎を受けるのは、客層を各店が絞っているようで、褐色の肌のインド人やバングラディッシュなどのベンガル人は敬遠される。アラブ人もそうだし、中国人も敬遠されるが英語が話せる香港人は別。対称はもっぱらファランと日本人、それもビジネスマン風の男に限られる。

バッグパッカーのような汚い身なりの男は日本人でも欧米人でもこの150mを無視され続け、何度も行き来している。(笑い)

実に現金な通りである。

 

入り口が狭いが、ひとがたむろしているところにその店はあった。間口の狭さを壁一面の鏡が2倍以上の広がりを見せる。店の入り口に何人かの美人が座っている。彼女たちは姿を見せているだけで、積極的な客引きはしない。しかし、これといった相手を見つけると、声をかけたり、通りにでて追いすがる。わたしはアンが写ったスマホを見せて、彼女はいるか聞いた。

「最近は来てないけど、妹が来ている」という。それで奥に入ってが店内は暗くて誰が妹なのかわからない。20人ぐらいダンサーがポールにしがみついて踊っている。

注文をとりにきたウェートレスに、アンの妹を呼んでもらう。カウンターの椅子に座ると同時にスコットはおんなのこに取り囲まれた。わたしの反対側はあたまが少し後退したカルロス・ゴーンに似た男が、ダンサーの脚を気持ちよさそうにさわっている。ビールのグラスにはくちをつけず、夢中でさわっている。

小柄なおんなのこがわたしの椅子とカウンターの間に割り込んできた。狭いのでもう席がないのだ。髪の毛はまっくろで色白な切れ長なひとみ、アンに似ている。だが、彼女は18才ぐらいにしか見えない。名前はアン・キルファ。つまり、安 吉華。彼女の兄はレディーボーイ名に苗字の安を使っていたのだ。

わたしのふとももにはさまり極端に接近した立ち位置で、キルファは英語で兄は「韓国政府から兵役検査の出頭命令がでたの。それで1週間前にソウルに帰ったよ」という。

 

カルロスはみるとお立ち台に肩ひざをつき、ついに踊り子の太ももに手でさすっているではないか。フラッシュライトに浮かぶ男の顔は恍惚としている。

反対側のスコットはおんな4人に囲まれ、胸に手を入れられ、もうひとりに耳をしゃぶられてまっかな顔をしている。さらにもうひとりはズボンのベルトをはずそうとしているが、そこだけはなんとか死守している。

 

「キルファはおんなのこだろう?」

「うん、この店はみんなレディーボーイだけど、わたしはマスコットとしておいてもらっている。ほんもののおんなよ。見る?」

ほんとうに無防備な癒し系というか、ほにゃっとした感じだ。会話が聞き取れないので、ほとんど相手の耳に口をつけて話すようになり、ほかから見ればまるで腕を身体にまわして抱いている。キルファはしきりに「連れ出して」とせがむ。その表情が必死なのでスコットにでようと合図しようとしたとき、背中に殺気を感じた。

 

アンジェラが立っていた。

アンジェラはキルファの腕をつかんでひっぱりだそうとする。キルファはその形相におびえ、身をかがめてカウンターの下を這うようにして逃れる。

「なんなのよ、あの娘は?」

「妹だよ」。

 

素数ノ謎 解明への大航海: 宇宙の暗号 (NGO japan cyber library)

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彼女たちの国境 飢餓性奴隷自由 原題 北朝鮮アセンディング (Japan Cyber Library)

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