ベトナムに移住2018年版　　メコン河、うつぶせで漂流の旅へようこそ！

ベトナム娘は国境を越えて

愛と冷静のあいだ

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メコン河、うつぶせで漂流の真実

｢借金は６００ﾄﾞﾙ。もう１００ドルは返したから、あとは５００ドルです」。

ルンは美しいベトナム娘。水商売には向いていない、普通のおんなの子だ。

「まだ、どうなるかわからないけど、５００ドルは私が用意するから、そしたらベトナムへ帰るか？」

ルンは信じられないといった面持ちでわたしを見た。

「はい。必ず。だって、父さんが死んで、わたしはここへ売られてきたばかりです」。

ここはプノンペン。仕事で友人とこの界隈では名が売れた店で、はじめて会ったルンは、働きはじめてまだ１週間目だった。だから、スレていない。すでに１００ドルを稼いで、返したというのは彼女は一日に何人もの客がつくほど人気があるということだ。

わたしは故郷ベトナムの家族のもとに、彼女を帰してあげれるかも知れないと考えた。翌朝、待ち合わせしたホテルのロビーにルンは待っていた。

わたしは綺麗なドル札を揃えて彼女に渡した。

「ほんとうに、ありがとうございます」。

彼女なら２カ月も働けば、返せる額だが、それでは彼女がもっている素直さ、誠実さは失われるかもしれない。そう思うと、この世界にどっぷり漬かる前に、救えるものなら救ってあげたいと考えたのだ。思い上がりかも知れないが、ルンはそれほど清冽で美しい娘だった。

わたしは念を押しに「いつかえるの」と聞いた。

「あしたにも帰ります」。

彼女は本気だろうと信じることにした。そして、その旅費にもう１００ドルをわたした。

「あなたはいつサイゴン（ホーチミン）に来ますか」。

「あと、１週間で仕事が終わるから、飛行機で帰るよ」。

「それなら、わたし空港で待っていますから、また、会えますね」。

すでに切符の手配をしていたので、日にちをルンに伝えた。

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だが、わたしのそれからの仕事はもの凄いことになっていった。

これがルンとの話の初めだが、この話、みなさん、すでにご存知だと思いますが、既刊の「プノンペン－愛と身請けのあいだ」でなんども登場したベトナム娘の身請け話の１つのエピソードです。一人称で書いていますが、記者が取材したもので、さらにパワーアップした（笑い）身請け話をお伝えできことを諸行無常の喜びをかみしめています。

それでは「ベトナムに移住？　故郷を渡る娘たちの謎　妖艶なる２０１８年版」。出発です。

いよいよ、この号で明らかになる「メコン河、うつぶせで漂流の旅」。

ほんとうに、メコン河で格闘した日本男児がいたのだ、、。

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