ReuterJapanNews’s Dialy

バンコク駐在記者。ヤンゴンからチン州ミンダットに転戦。国際NGOと連携して国軍の攻撃から逃れる難民を救おうと頑張っています。

カンボジアの国際港湾公社に日本出資 中国の一帯一路に対抗

JICA カンボジアの国際港湾公社に出資

 シアヌークビルになぜ?

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シアヌークビルは海辺の保養地でもあり、日本のバックパッカーも沈没している。沈没とは将来の見通しもなく、ただ、住みやすいという理由から住み着くことをさす。為替格差で安易に生活でき他人から干渉されることがない保養地が沈没の条件になる。

ブルーマウンテン、チキンビレッジという名を聞いたひともいるはず。そこに置屋街がある。5-6軒の小規模な置屋だがカンボジア人、クメール人、それにベトナム人のおんなたちが男を夜毎、呼び込む。

この街を見て周るにはレンタルバイクがあり、それに跨って交通法規を守って走っていると、外国人は目だって、ほぼ間違いなくカンボジア人の警察官につかまる。罰金目当ての取締りだ。給料があまりにも安いため、せっせと外国人をつかまえては金を徴収するのが、まるでカンボジア警察の仕事のようだ。

 

 4回に渡ってカンボジアの記事を集中連載した。なぜ、ここカンボジアにいるのか? 実はプノンペンの南230㌔にシアヌークビルという港がある。ここに日本のJICA(国際協力機構)が出資して港を整備する話がでていたからだ。それがきょう6月8日、やっとオープンになった。日本経済新聞に掲載された。

 

シアヌークビルはカンボジアでは唯一の国際港として開かれた港で外航船が着岸する。6000TEU級の大型コンテナ船が接岸できるバース(岸壁)を建設し、さらにコンテナを積み下ろしする大型ガンとリークレーンを設置する。されにそこからプノンペンへ陸上輸送するトラック、シャーシなども必要となる。これらのオペレーションを行うのが、シアヌークビル港湾公社で、6月8日、カンボジア証券取引所に上場を果たした。保有株式の25%を売り出した。日本のJICAが株式を取得した。

これには経緯があり、この港は日本の円借款で整備したにも係わらず、中国がなりふりかまわぬ割り込みを見せ、港の支配権を取得しようとしていたようだ。それは1月しょっぱなに掲載した中国の世界物流戦略「1帯1露」に沿って、中国から南の海へでる出口をこのシアヌークビルに設けようとしたのだ。

すでにロッテルダムギリシャピレウスに中国は自国支配の港湾を確保しており、この政策の一貫でカンボジアへ降りてきた。

中国の1帯1路をEUや日本が受け入れられない理由の1つは、有事の際、中国が軍事転用するケースがあったからで、中国が世界の主要港湾を資本的に支配するのをだまって看過できないわけがある。

 

カンボジアは戦争と内戦で文字が読めるひと10人のうち、9人までが殺されている。ポルポトの世界で例をみない大殺戮があった国だ。そして、親がいない子どもが大人になったのが今のカンボジアである。つまり、社会の規範となるひとを見ずに育ったため、極めて「人間的な価値観」が失われている。

教師も殺され、裁判官も殺され、弁護士も殺され、文字が読めるだけで銃殺された。それを見ていた子どもがいまの青年たち。それが大人になった。ベトナムも若い国民(半数が30才以下)だが、カンボジアもそうだ。かつて、仏教の寺が貧しいこどもたちをひき取り、修行という名目で生活の面倒を見ていた。だから、なにも将来、僧侶にならなくても物乞いにならなくても生きていけたのだ。

 

正月から始めた中国の1帯1路の連載は、カンボジアの物乞いのこどもたちで、結びついた。中国は仏教を捨てたのか? 

この世界でもっとも尊敬される宗教は、仏教なのだ。欧米人のなかにも多く仏教の信仰をもつひとがいる。映画俳優のリチャード・ギアもそうだ。彼が自らホームレスを演じた映画は、心温まる映像で、人生も悪くないなと思わせるものだ。彼が信仰するのはチベット仏教。アジアの広大な地域に生き残るチベット仏教文化圏は、中国によって押し込められ、戦争によって僧侶が殺され、そして、一国から消えてなくなった。日本の僧院にぜひ復元に立ち上がってほしいものだ。

 

個人がカンボジアで会社を起こしても、それを譲ろうとしてもとうのその主体となるカンボジア人に最後にだまされる、裏切られる。例をあげるときりがないが、この土地から1度、人間の英知が失われたのだ。

 

 

 

次元を旅した男  次元の探検家 理論物理学者ジョエルと仲間の冒険

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