ReuterJapanNews’s Dialy

バンコク駐在記者。ヤンゴンからチン州ミンダットに転戦。国際NGOと連携して国軍の攻撃から逃れる難民を救おうと頑張っています。

連載 タイに移住しよう テーメー戦記&コヨーテダンサーより

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第1幕 タイに住んでみると

 コヨーテダンサーは、実はゴーゴーバーにいる踊り子だけではない。もっと純粋なダンサーとして、自動車ショーやカー用品などモーターショーで踊る子たち。日ごろはショップ店員だったり、ショーダンサーなど様々。何しろ、イベント期間しかダンサーの仕事はない。

 モーターショーではピックアップトラックの荷台を舞台に見立て踊るのだが、すぐ身近に観客(男だらけ)が迫ってくる。手抜きはできない。ダンサー1人に20人が集まっている場合もある。決して割りのいい仕事ではない。もっと美人でスタイルがよければモデルの仕事もある。しかし、モデルは一握りのひとたちが独占しており、ずば抜けた美貌が求められる。

 そうではなく、リズムに身をよだねて身体をくねらせるダンサーに特別な才能はない。身近なアイドル、庶民の女神、チップをはずめば携帯の番号さえ交換してくれる。バンコクスクンビット地区、パタヤプーケットチェンマイなどダンサーとゴーゴーバーを追って、タイ中を駆け巡って彼女たちの生活を追った。

 

 

 

タイ 沈没ガイドブック

コヨーテとおおかみ

 

 

 バンコクスクンビット地区には日本人が多い。5つ星、4つ星ホテルが林立し、リニューアルされた中級ホテルはリーズナブルで治安もいい。40ドルから60ドルで静かな部屋がとれる。なぜ、ここの地区が人気かといえば、バンコク一の歓楽街ナナプラザにSoi Cowboy、伝説のカフェ・テーメーがあり、美しいタイ女性を連れ帰ることができるからだ。

 

 

 

フリーランサーが集まる カフェ テーメーはラムチェットホテルの半地下にある。表には入店が禁止されているレディーボーイが多いが、女性も混ざっている。

 

 

1、テーメー

  援助交際カファ・テルマエ戦記

 

テーメーとはフリーランサーの女のこが詰めかける、援助交際カフェ。正式名称はTHERMAE。なぜ、こんな名前なのかというと、日本人がつけたからではないかという。ターミナル21前で略して「テーメー」。そんな嘘を教えてくれたのは、ここに足しげく通う友人の神田君。本人はそう信じていたが、もっと年がいった日本人に聞いたら、語源はローマの浴場「テルメ」もしくは「テルマエ」に由来。嘘のような本当の話だが「テルマエ戦記」という本が日本で出版されたこともある。そんなわけで、この章はテルマエ戦記となった。

バンコクに開通したスカイトレインTBSのASOK(アソークを下車し、ターミナル21の方向をめざす。さらに、ロビンソン百貨店の前を直進する。歩くこと5分。今度はS15、それに2017年初めにオープンしたHOOTERSの大きな看板をさらに、まっすぐ。すると右手に小さな社(やしろ)があるラムチェットホテルに到着。

この半地下にテーメーがある。最初に目に入るのはブッシュ・ガーデンの文字(左)、そして、ラムチェットホテルの文字。ホテルの右側斜め下に入るとテーメーに入れる。

ガーデンの入り口には、おんなのこがたむろしているが、彼女たちはレディーボーイがほとんど。入店が禁止されているので、テーメー外で客待ちをしているのだ。10人ぐらいはいつもいる。

なかにひときわ美しい日本人好みのOL風女性が生垣のコンクリートの淵に腰を下ろしてiPONEを操作している。ポケモンゴーでもしているのか?

つんとした鼻、大きく涼しそうな瞳、横顔が美しい。色白ですらりと伸びた脚は白く輝く、欧米のひとはこれを蜂蜜色と呼ぶが、照明の下で見ると一層魅力的だ。

だが、待て? なんでカフェの外にいるのか。レディーボーイはそれと一瞬でわかる個体から、よく観察すればわかる個体、そして、しゃべれば声でわかる個体、最後の一線を超えるまでわからない個体がいるので、注意してほしい。それでも、いいというひとだけお持ち帰りしよう。

さらにややこしいのは、本物の女で息ぬきにタバコを吸いに出てくる娘も混ざっている。

 

テーメー店内は壁際をぐるっと取り巻くようにおんなのこが並んでいる。その数はざっと50人から70人ぐらいだろうか。午後10時から店が閉まる午前2時まで、男女が出入りするがだいたい女が60-70%に対して男が30-40%ぐらい。

店内はファミレスほどの広さで、壁際にボックス席(4人掛け)、中側にはテーブル席が設けられている。中央のS字カウンターテーブルを一周すれば今夜のライナップがわかる。

店の業態はカフェバー。飲み物を提供するだけ。フリーランスの女性とお客が知り合う場所を提供しているだけだ。だから、店のウェーターはマッサージ師のようなブルーのシャツを着た老人である。これなら、当局に睨まれて追求されても、あくまでもカフェだと言いはれる。

 

それには深いわけがあるのだが、おいおい話そう。テーメーは今では日本人のためにできた店のような錯覚を覚える。女性も日本人が好きそうな格好をした細身の女性が多い。この熱帯の街ではひときわ美しく肌を見せる、ホワイトの短いショーツ。デニムの短パンからまっすぐに伸びた脚をきれいに見えるように片足を少しだけ引いて、手で手の甲を重ねて、微笑んでいる。まさに、ほほえみの国、タイランド

 

ブルーとホワイトの縞柄模様のワンピースは太ももをぎりぎりまで見せるタイトなデザインで洗練されている。こんな娘はすぐにテイクアウトされるので見つけたら交渉あるのみ。

だが、待てよ。彼女の前に行き声をかけた中年の日本人男性にたいして、顔を背ける。二度、三度と日本人は念力を送るが、無視されている。ばつが悪そうに歩き去った。しばらくして日本人の20-30代の男性が前を通り過ぎる。ほほえみが帰ってきた。その笑顔がいっそう彼女の魅力をひきたてる。

つまり、ここは自由恋愛の場、熱帯雨林のジャングル。弱肉強食、魅力がなければいくらカネを積まれても我慢できないものは我慢ならないのだろう。よく見ると、先ほどの中年男性と同じ年、ぴったりの女性も待機している。

 

このあたりを、知り合ったアーン(20才)にそこはかとなく聞いてみた。アーンとはこのお店で知り合った仲だが、彼女は流暢に英語を、それにたどたどしいが日本語も話せる。

「やはり、50才位までかな。それ以上はイヤ。やさしいひとならデートだけならいいけどベッドは少し考える」

「考えるって、考えてもどうにもならないでしょう、そんなもの、若かろうが、年が行っていようが同じでしょう?」と言うと、上からものを言われるのがきついというのだ。つまり、父親以上の年代のひとはどうしても、いっしょにいても楽しめないという。

 

では、かっこいい親父はいないのかといえばそうでもない。つまり、全体の雰囲気なんだそうだ。雰囲気、そんなムードをもった大人ならファラン(白人)にはいっぱいいるけど、日本人には少ない。先ほどの日本人の中年を見ていると彼の表情が硬くこわばって見えた。余裕がないのかしかめっつらをしていた。このあたりのことを言っているのではないだろか。

ファラン 主に西洋人をさす。語源はタイ語の「ファランセット」つまりフランスから来ている。タイの女性は最初は白人をみなフランス人だと思ったのかも知れない。

 

ビール100バーツが入場料 広く薄暗い店内には、無数の女性たちが待機している。

入場料はないがドリンクオーダーが必須。中に入ると、左手にドリンク販売コーナーがある。

ドアを開けたところに店員が待ち構えていて、ドリンクコーナーへ誘導されるはず。

コーラ60バーツ、ビール100バーツと決して高くはない。

 

 

さて、ここに足しげくやってくるおんなたち。18-40才ぐらい。 若いほうから探してゆくと、純真そうで笑顔に心なしかはにかみがある娘がいた。普段着のような淡いブラウンのTシャツ。下はデニムパンツ。でも彼女は色白なうえに目鼻立ちが整っている。連れ出されるのは時間の問題だろう。そう意識しているのか、そんな若い娘はみんなCA(キャビンアテンダント)のようにきちんと立っている。男が近づくと微笑みかける。

つまり、これがすぐ商談が成立するトップクラス。

そうでない投げやりなおんなのこもいるが、それは愛嬌。毎日、4-5時間いても声が掛からなければ椅子に座っているほうが楽だ。それに、しだいに顔見知りが増えて男から声がかからない者同士、女同士で友人になってしまったのかも知れない。

最近は、中国人、台湾の男性客、それに欧米人も店に顔をだすが、やはり圧倒的に多いのは日本人の男性客だ。次いで中国人のツアー客(バジェット・トラベラー)。かつての日本の隆盛は消えかけている。

しかし、話してみるとわかるのが、ここに通いつめているおんなたちが日本語をしゃべれるかというとそうではない。ほとんどがカタコト。なかにはしゃべれる娘もいる。

「どこで日本語を習ったの?」というほどの娘もいる。実は表のガーデンでカップルが成立して出て来るひとを観察すると、誰も連れ帰らず、男たちだけで出てくるグループが多い。冷やかしではないけれど、さりとて連れ帰るほどの娘がいなかったようだ。

このテーメーの上がラムチャットホテルで、もっぱらラブホテルとして利用されている。室内は狭く利用料は600バーツ(休憩)。ここに宿泊するのはやめておいた方がいい。寝れないからだ。

同じくここで知り合った19才のレックは、女子大生。

タイには無試験で入れるランカムへーン大学があり、身分だけは大学生というおんなのこがこの風俗業界に多い。その大学の学生数は30万人とも40万人とも言われる。卒業するのが目標ではなく、在籍することに意義がる大学もあるのだ。

 

ランカムへーン大学 バンコク市内の東部にある国立大学。無試験で入学できるオープン大学で在籍者数は国内最大の35万人規模。学歴社会のタイでは大学卒は一般に比べ1.5倍以上の高給とり。だから働きながら7-8年かかっても卒業する社会人もいる。ちなみに、最高学府が後半にでてくるチュラロンコーン大学、タマサート大学で、日本の東大、京大に相当する。

カフェ・テーメーにも大学生は出没する。足がスニカーだったり、ポロシャツだったりで、ドレスなど戦闘服でない娘はその可能性がある。大学には制服があるが、紺のスカートに白のブラウスに大学バッジ。これでナナプラザやテーメーにはでれないので普段着でやってくる。この制服がパッツンパッツンのつまり、ぎりぎり身体が入るまで詰めたサイズにするのが、女子大生の着こなし。

 

 

ここではほぼタイ語しか通じないと思っていい。英語はカタコト程度。英語はしゃべれるのは欧米人を相手にする娘である。最低、サワディー・カップから交渉までの10フレーズは覚えて行くとスムーズに運ぶ。それができないとなると、テーブルに座ってメモを取り出すとか、熱意を示すしかない。それでうまくやっているひともいる。つまり、そのためにテーブル席はあるようなもの。

 

ここは夜の2時に閉店すると、さらにすぐ近くにホリーズカフェがもっと遅くまで開いているので、そこにおんなのこたちは移動してくる。だが、レディーボーイが多い。

 

昔はサイアムホテルがあり、そのホテル内にあるサイアムカフェが有名で、ここが男女の出会いの場だった。その集客力のすごさから周辺の公園にまで女性が並ぶという現象が続いた。今はあちこちに分散している。どこにいるかというと、ナナプラザ前とか、駅やターミナル周辺である。ジャマイカなどカリブから来たおんなのこもいる。つまり、彼女たちの黒い肌のせいで、彼女たちには室内の場所がないのだ。だからBTSのナナー駅とアソーク駅の路上に一直線に立っている。もう少し詳しく分類すると、アフリカ系とカンボジア人はソイ3-5に立っている。アフリカ人は幅広く美しい娘もいる。

タイのヒエラルキーは、色が白いほど価値がある。

なかでも目を見はるのは、アラビア世界からと思われる女性もいるのだ。それは中東の店が立ち並ぶソイ3-5に数人いるが、彼女たちの美貌とスタイルは目をひく。彫りの深い目鼻立ちがしっかりした陰影のある顔。そして何より憂いのある瞳。だが、彼女たちフリーランサーには軒先しか営業場所がない。

 

トランス・ジェンダー

 

ひとつだけ、ずっと心に引っかかっている。いつまでも記憶に残る。タイにいるレディーボーイのなかには、心は女性なのに、生まれた身体が男性だったトランス・ジェンダー(性同一症候)のひともいるのだ。深く知り合えば、知るほど彼女の心の底を覗き込むことになる。最終的に元・男だったとしても決して、心を傷つけるような、なじり方をしてはいけない。

「いつから、自分は女だと気づいたの?」と、聞けばトランス・ジェンダーかどうかわかる。

そんな娘は多額の借金をしてでも、男性器を切り落とし、完全な女性になる手術をする。そんな娘だけの店がソイ・カウボーイにある。3カ月程度で踊り子たちは入れ替わるので、ラインナップは変わる。新しい娘が入ると中にずば抜けて美しい娘がいたりする。

 勤務形態も様々で自由出勤のひともいて、昼間勤めを終えてから、週に数回だけ顔をだし、デートを楽しむ娘もいる。すれてないので、ほんとうに素人だったりする。そうなると恋愛も本気になり、命がけになる。

 

 

おさらい

テーメーカフェ 嬢の言い値相場(→は値引き交渉後)

ショートタイム:2500バーツ→2000バーツ

ロングタイム:朝までお泊りコース 4500バーツ→3500バーツ

 

ラムチェットホテル テーメーの裏階段から直接入れる。普通に宿泊もできる。一泊1200バーツほどとお手頃。

 

 

 

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ソイカウボーイ。写真左はRIOの娘、右の娘はコックカットのレディーボーイだが、心は完全な女性。

 

 

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