ReuterJapanNews’s Dialy

バンコク駐在記者。ヤンゴンからチン州ミンダットに転戦。国際NGOと連携して国軍の攻撃から逃れる難民を救おうと頑張っています。

女子高生公開裁判・女子大生は自殺 北朝鮮の人権侵害さらに  彼女たちの国境 連載6(未収録編)

国連調査委員会が公表した北朝鮮の人権侵害に関する報告書によると、金正恩体制下の政策になり、広範囲にわたる「人道に対する罪」が今現在も行われている。

人権侵害のレベルは極めて深刻なレベルに達してしる。

軍隊内や職場内で性的暴行

金正恩党委員長の父親である金正日氏は、「5課処女」という「権力層に仕える女性」を選抜、管理するシステムをつくりあげた。代表的な5課処女といえば、日本でもよく知られている「喜び組」。まさに、指導層が権力を笠に着て、女性を仕えさせ、時には慰み者にする。そんな前近代的女性差別が、今現在も行われている。

 

この問題が複雑なのは、北朝鮮社会が、儒教的で男性本位な特徴があることから、女性に対する性暴力はそれほど問題視されず、被害を受けた当事者の女性も告発できないことだ。軍隊内や職場内で性的暴行の事実が明らかになった場合は、むしろ被害者である女性が侮辱されたり不利益を受けたりするので、女性は沈黙するしかないーーつまりは2重の被害である。

米国映画を見た」という罪状

こうした女性差別は、もはや「女性虐待」と言っても過言ではなく、成人女性のみならず、若い女子に対しても同様のことが行われている。

今年1月には、「米国映画を見た」という罪状で、高校生の男女15人が公開裁判かけられた。現地の情報筋によると、公開裁判にかけられたのは16歳と17歳の少年・少女たちだったという。

そして、悪名高き「政治犯収容所」などの拘禁施設内では、せい惨な人権侵害が常態化している。韓流ドラマを視聴したことが北朝鮮の秘密警察「国家安全保衛部」に発覚し、連行された23才の女子大生は、激しい拷問と、彼女を待つ10年間の地獄のような拘禁生活に絶望し驚くべき行動に出た。

 

韓国ソウルにある「北朝鮮人権情報センター」傘下の「北朝鮮人権記録保存所」によると、北朝鮮の拘禁施設の総計は約480ヶ所。内訳は、「拘留場」と「労働鍛練隊」が210ヶ所、「教化所」が23ヶ所、「教養所」が5ヶ所、「集結所」が27ヶ所、「政治犯収容所」が6ヶ所だ。

こうした拘禁施設で常態化している女性虐待をそのままにしておくことは、国際社会で問題にしなければ解決しないところまで来ている。

 

女子大生は自ら命を絶った

韓流ドラマを取り締まる組織の取り調べに耐えきれず、23歳の女子大生が自ら命を絶ったという。
北朝鮮の人権侵害によって、23歳の女子大生が自らの命を絶つという悲劇が起きた。なぜ、彼女は自らの人生に終止符を打たねばならなかったのか。
 8月6日、米国は最高指導者の金正恩党委員長を、人権侵害の首謀者としてはじめて名指しで明記した。北朝鮮は米国の措置に対し、「外交ルートを遮断する」と猛反発。しかし、いくら反発しようとも、せい惨きわまりない北朝鮮の拷問や処罰の実態の多くは暴かれており、米国の措置はむしろ遅すぎると言っても過言ではない。

赤ん坊は犬のエサに投げ込まれた...北朝鮮「人権侵害」の実態
今回、女子大生が自殺を選んだきっかけは「韓流」と北朝鮮当局の「拷問」。この二つは、現在進行形の北朝鮮の人権侵害を象徴している。
女子高生が見せしめ
 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮の秘密警察・国家安全保衛部(秘密警察)と韓流ドラマを取り締まる組織「109常務」は大々的な取り締まり作戦を行い、現地には殺伐とした空気が流れているという。1月には、女子高生も海外映画を見た罪に問われていた。
そして今年5月、109常務は、清津(チョンジン)市浦港(ポハン)区域南江洞(ナムガンドン)で一人暮らしをしていた23歳の女子大生の家を急襲、家宅捜索を行った。
 運悪く、彼女の家からは韓国映画が保存されたメモリーカードが発見されたことにより悲劇が起こる。女子大生は、保衛部に連行され、激しい拷問を加えられた。そして、10年の懲役刑が避けられないことを悟った彼女は、いとこの美容室から持ちだしたパーマ液を飲んで、服毒自殺を図った。現地情報筋は、彼女の安否を伝えていないが、おそらく死亡したものと思われる。


女性収監者は裸で
 取り調べでは、木の棒で殴打される、鉄線や革のベルトで締めあげるなど無慈悲な拷問が23歳の女子大生に加えられた。彼女にとって、とても耐え切れるものではなく、メモリーカードをくれた友人の名前を白状してしまう。そして、自ら命を絶つ。
 せい惨な拷問によって、友人の名前を白状してしまったこと。待っているのは地獄のような10年間の拘禁生活。彼女が自殺に走った動機が、人生に絶望を感じたであろうことは想像に難くない。 

これだけではない。清津市では3月にも、取り調べを受けていた40代の女性が取調室のある5階から投身自殺していた。

 

彼女たちの国境 飢餓性奴隷自由 原題 北朝鮮アセンディング (Japan Cyber Library)

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