「7を法とする不思議な世界」へようこそ
DIOPHANTI ALEXANDRINI ARITHMETICORVM LIBRI SEX
ギリシャ数学の天才ディアファントスは、生前、史上最大の数学全書「算術13巻」を残した。しかし、それは半分も現存しない。生き残ったのは6巻だけであとは永遠に失われてしまった。
その内容は、1621年に刊行された上記表題の6巻をフェルマーが持っていたことから始めてヨーロッパ世界で知られることになった。
あの「フェルマーの最終定理」で数学界を騒がせたピエール・ド・フェリマーその人である。これらの本はエジプトの第二の都市アレクサンドリアの大図書館ムセイオンに所蔵されていた。ここは紀元後は世界最先端を行く学問の都市。普通の図書館ではなく、大学と研究所、図書館、博物館などの研究機関がひとつになった複合施設で、世界最大のコレクションに引き寄せられるように世界から学者たちが集っていたのである。
これに似た施設は、ドイツの数学者ガウスがいたゲッチンゲン、そして、アメリカのプリンストン高等研究所のような存在だった。しかし、アレクサンドリアはその時代としては遥かに高いレベルの世界最先端を行く「国際学術芸術総合メトロポリス」だったのである。
それゆえ、外国の軍隊から絶えず攻撃にさらされ、破壊されそのつど修復を重ねてきた。最初の攻撃は紀元前47年、カエサルがプトレマイオス3世とクレオパトラの政治紛争に介入するかたちで、アレキサンドリア港に停泊していたアレキサンドリア艦隊に火を放ったのだ。
港にあった大図書館(なぜか今も港に建て替えられた)に火は燃え移り、数10万部の古代エジプトからバビロンの蔵書が失われることになった。
エジプトの女王クレオパトラは、これまで積み上がった古代エジプトの知識の大切さをよく理解していただけに悲嘆にくれた。それがわかり、クレオパトラの心をつかみたいアントニウスは、当時、建設を進めていたベルガモンの図書館から蔵書をすべてムセイオンに移し、アレクサンドリアの栄光をよみがえらそうとしたのである。
その後、400年間、アレクサンドリアは蔵書を増やし続けた。その方法はいかにも知恵者が考えた、思いもよらない方法で、それについては、「地球を測量した男」に書いた。
389年、キリスト教の皇帝テオドシウスが、アレキサンドリアの総司教テオフィロスに命じ、異教徒の建物をすべて焼き払うように命じたのだ。ムセイオンは神殿内にあったためまたしても打ち壊されたのだ。
ここでディアファントスの凄さを物語る話をひとつ。歴史上初めて楕円方程式を研究していたのが古代ギリシャの数学者たち。そのなかで残っているのがディアファントスのものだけだ。あのX2+Y2=Z2(数字は乗数)などの式がそれぞれ楕円の幾何に相当することを突き止めていた。
さらに、素数の暗号を読み解こうとして、無限に存在する素数をループにすることで回避できると思いついた。わたしは慶んだが、そのやり方がすでに見つけていた人がいたことを知って落胆した。
方法は簡単だ。数字は1直線状に→方向へ並ぶ。これをループにして7で完結させてしまうのだ。
0,1,2,3,4,5,6→0,1,
これが「7を法とするループ算数」だ。
この算数では2+6=1になる。
3+5=1
つまり、7を法とする算数では素数3と素数5をぶっつければ、すべて粉砕して1になってしまう。宇宙の算術が10進法ではなく、もし、ほかのループ算術だったとしたらという疑念がふつふつとわきあがってくる。だが、この7の法を採用したのはわたしだけではないだろうか?
7を法とする掛け算でも3×5=1になってしまう。
考え方は、7の円を描く。つまり円周を7で等分した時計画面を考え、5の目盛りを3回転させる。答えは1になる。
つまり、
0, 1,2,3,4,5,6,
A0,A1,A2,A3,A4,A5,A6,
B0,B1,B3、、、、、、
という数列を考えてほしい。
ここから重要なのは、10進法とは異なった素数が出現してくる。
この7を法とする世界では、
2,3,5の次の素数は、
A2,A3,A5,
B2,B3,B5 と続く。
この7を法とする世界では素数は極めて秩序ある姿を見せてくれることに気づかれたことと思う。なにも、リーマンがつくったゼータ関数だけが素数を映し出す鏡ではない。関数はあなたでも簡単につくることができる。その証拠をわたしが関数でつくった映像で見ることができます。
http://www.geocities.jp/nagoyawebacademy/index1.htm
そして、その関数にギリシャ文字を与えれば、みなが納得してしまうのだから不思議だ。ゼータはギリシャのアルファベート。
7のSETTEから「セッテ関数」というのを提案したいが、残念ながら、わたしはギリシャ語が話せない(笑)。それでイタリア語なら少し話せるのでセッテ関数です。笑わないで。
この考え方の向こう側に、楕円方程式が存在するのだから。さらに、わたしはイギリスの数学者ハーディーが「素数に意味などない」という彼の反証側に何度も傾いており、その例のもっとも重要な根拠を第1幕に記載した。
では、7を法とする世界から、10進法の世界をみると無秩序な意味不明な素数に振り回されることになり、リーマン予想はただのパズルになってしまう。セッテ関数の世界が正しいならば、それ以上の数を網羅し列挙する現在の整数論の世界こそ、まさに虚数空間になってしまう。
この物語の行き着く先には、なぜ、宇宙が一点から始まり、その最初のときだけが説明できないのかという虚数の世界を垣間見ることになる。
注記
7を法とする算術では、一度、確立したその世界で、10進法の考え方に逆戻りして、素数を割り振っても意味をなさないことに気づいていただきたい。それを理由に反証されるひとが多かったので記載しておきます。なお、わたしはリーマン予想の肯定と反証を交互に繰り返しています。反証だけを進めているわけではありません。
オイラーのπを組み込んだ式は簡単に反証でき、さらにガウスの少年時代の自然対数表についても反証でき、さらにリーマンの鏡の世界についての反証がこの項にあたります。しかし、最も難航しているのが、原子核のエネルギーの間隔を求める式と、素数の出現する間隔の式の類似です。
それでアレキサンドリア図書館はどうなったかって?
642年、カリフ・ウマル率いるイスラム教徒の軍隊がアレキサンドリアに攻め入り、コーランの教えに背く書物はすべて焼き払うように部下たちに命じた。図書館の世界に比類なき蔵書のほとんどは共同浴場で焚きつけとなり、イスラムの兵士は湯を楽しんだ。
そのなかでわずか数巻の算術がコンスタンチノーブル(現在のイスタンブール)に持ち込まれ、その土地の文字に書き写された。それらはさらにインドへと渡り、12進法となり、0を生みだすなどして、インドの現在のコンピュータ技術者を生む素養となったのである。
しかし、それから1千年後、フェリマーの手に入り、ヨーロッパ世界はその魔力を知ったとき、彼らが1千年もの人類の英知を失っていたことに気づかされた瞬間でもあったのだ。
次回、「ヒルベルトの不可思議なホテル IN HOCHIMIN」 でお会いしましょう。なお、この原稿は素数の謎、第2幕「宇宙の暗号」のオリジナル原稿で、書き下ろしです、連載にとりあげてくださる雑誌出版社を募集しています。メールは以下のとおりで、返信がかなり遅れることになりますがご了承ねがいます。
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