18世紀末、フランスのナポレオンがエジプト遠征をした。そして、持ち帰ったのがロゼッタストーン。ただ、遠征するだけではなくて165人の学者を引き連れていた。パリ社交界はエジプト世界に対してあこがれを持っていたのだ。ナポレオンはエジプトで戦争をしかけ侵略、各地に部隊と学者を派遣して発掘した。
そして、出てきたのが世紀の大発見といわれる「ロゼッタストーン」。この高さ1メートルほどの碑文には国王をたたえる布告が、神聖文字、民衆文字、そしてギリシア文字で刻まれていた。
こういう記念碑は、違う言語をしゃべる人でも分かるように、同一内容を複数文字で書く。ギリシア文字はアルファベットだから読める。だから、ロゼッタストーンの発見によって神聖文字解読の大きな手がかりがあたえられたのだ。
ところがその後20年間解読できない。みんな、神聖文字の絵の形に惑わされて、これを表意文字と考えたからです。
たとえば、鷹の形の字があれば、「飛ぶ」「速い」「勇猛」という意味じゃないか。
1822年、解読に成功したのがフランスのシャンポリオン。かれは碑文の中の枠でくくってある一連の文字に注目した。何故、枠で囲んでいるのか。重要な単語だからに違いない。エジプトで重要な単語とは何か。
そして、かれは、これが王の名前をあらわしているのではないかと考えた。
そうすると、そこにほぼ対応するギリシア文字の場所に、プトレマイオス、とか、クレオパトラとか王の名があった。
さらに観察すると、絵文字のプトレマイオスのP、クレオパトラのPにあたる部分に同じ絵文字があった(小さな四角の文字(□)があった)。
かれは、絵文字が表意文字でなく表音文字であることをはじめて発見したのだ。これ以降はどんどん解読をすすめることができた。獅子はL、鷹はAと。
この解読成功によって、古代エジプトの歴史が一気に明らかになったが、その後、古代エジプト文明の高さに気が付いた学者たちは、驚きはしたものの、紀元前2000年からキリスト誕生後1000年の計3000年もの文明を人類が失っていたことに気づいたひとはいなかった。
エジプト文明はメソポタミアには伝わっていた。そして、ギリシャにも伝わっていた。問題はローマ人である。イタリア人、あなたたちは何て愚かなのだ!