reuterjapannews’s diary

宇宙のなかに住む住人は、どうすればその形がわかるのだろう,という世紀の難問ポアンカレ予想から出発した壮大なドキュメンタリー。決して外から形を眺めることができないがそれに挑む天才数学者たちが繰り広げる死闘を執念で追います。また、記者自身にもそれに挑戦させるとんでもない企画。数学や理論物理学がこれほどまでに凄まじいものかと、、。その煌きと感動を身をもってお伝えします(><);ギリシャ問題、中国バブル崩壊、性奴隷マーケット問題などニュースの裏側を伝えます。短期勝負なのでいづれブログではなくなります。Web MO

ノーベル賞の南部陽一郎さん 死去 巨星墜ちる

アメリカ・シカゴ大学名誉教授の南部陽一郎さん(理論物理学者)が5日、急性心筋梗塞のため亡くなった。94歳。物質を構成する「素粒子」の理論的な研究に取り組み、7年前の平成20年に、ノーベル物理学賞を受賞した。彼の取り組んだ「対称性の自発的破れ」は世界を驚かせる発見だった。

 南部さんは大正10年に東京で生まれ、幼いころを福井市で過ごした。東京帝国大学を卒業し、朝永振一郎ノーベル賞受賞者)のもとで研究生活に入った。
大阪市立大学の教授を経て、昭和27年、研究の場をアメリカに移し、シカゴ大学の教授。昭和45年にはアメリカ国籍を取得。南部さんは、物質を構成する最も基本的な粒子である「素粒子」の研究に取り組み、かつては対称に動くと考えられていた「粒子」と、電気的に反対の性質を持つ「反粒子」が対称でない動きをする場合があることを理論的に予測しました。この理論は「対称性の自発的破れ」と呼ばれ、その後の素粒子物理学の発展に大きな影響を与えました。
また、ビッグバンの直後、宇宙が急速に冷えて性質が大きく変わったという画期的な理論を提唱し、半世紀以上たって「ヒッグス粒子」とみられる粒子の発見へとつながりました。こうした功績により、昭和53年に文化勲章を受章し、7年前の平成20年には、益川敏英さん、小林誠さんとともに、ノーベル物理学賞を受賞した。
シカゴ大学の名誉教授に加え、4年前には大阪大学大阪市立大学の特別栄誉教授となり、自宅のある大阪・豊中市とアメリカを行き来する生活を送っていた。大阪大学によると、南部さんはことし5月に体調不良を訴えて大阪市内の病院に入院し治療を受けていたが、容体が悪化し、今月5日の午後8時すぎ、急性心筋梗塞のため亡くなった。

■ 受賞会見の場 「対称性の破れ」

 素粒子論の問題とは何だったのでしょうか?

──たとえ話からはじめましょう。今回のノーベル賞を受賞することになって,シカゴ大学で記者会見をやりました。記者たちの顔を見ていて,はっと気がついたのです。「みんなが私の方を向いている」。これは本来おかしいことです。なぜなら,物理法則には,「どちらを向け」という決まりはないはずだからです。だから,どちらを向いてもいいはずなのに,なぜみんながそろって私の方を向いているのだろうと。もちろんその理由は,私がいるからですね。つまり,「私」という刺激さえあたえれば,どちらを向いてもよかったはずの顔が,特定の方向に並んでしまう。これが,「対称性の自発的な破れ」とよばれるものです。


 「本来はどちらを向いてもよい」という性質が「対称性」で,「それにもかかわらず,ひとりでにどちらかを向く」という現象が「対称性の自発的な破れ」だと理解すればよいでしょうか?

──その通りです。対称性があると,それにともなって必ず保存則が出てきます。BCS理論の場合は,電荷の保存則が破れることで,超伝導がおきていた。この話を素粒子にもっていくと,素粒子には「カイラリティ」という性質があります。粒子の進行方向に対して,スピンが左巻きか右巻きか,という区別のことです。


スピンとは,粒子の“自転”のことでしたね。

──そうです。そして,カイラリティの保存則,すなわち「カイラル対称性」が自発的に破れれば,粒子に質量が生じると考える。逆に,質量がなければ,カイラル対称性が保存されていると考えればよいとわかりました。


つまり南部先生は,素粒子の質量の起源を説明する理論の基礎をつくられた,というわけですね。

──そうです。現在の「標準モデル」では,粒子が質量をもつしくみを2段階で考えます。対称性が自発的に破れることによって,「ヒッグス粒子」というものが,小さな質量を各粒子にあたえる。そして次に,「グルーオン」という粒子に関する対称性が破れると,さらに重い質量が各粒子にあたえられる。これは私の仮説でしたが,あとから正しいとわかりました。ただし,粒子の種類によってさまざまな質量の差がある理由は,いまだにだれも説明できていません。標準モデルの先にある「大統一理論」というものをもちだして,なんとか説明しようとみんなが考えていますが,こればかりはどうしてもうまくいきません。


 「対称性の破れ」は,私たちが存在するこの宇宙に,どう関係しているのでしょうか?

──対称性の破れというのは,たいてい,温度を上げればなくなってしまうのですよ。超伝導も,温度を上げるとなくなってしまう。だから,宇宙のはじめのように,たいへんな高温であるときには対称性が保たれた粒子であっても,だんだん冷えてくると,対称性が破れて,質量をもつようになると考えることができます。宇宙が誕生して,「最初の3分間」で元素ができたといいますが,その前に,対称性は破れていたことになります。